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就労継続支援B型事業所の今後はどうなる?開業前に知っておきたい制度動向

公開日: 更新日:
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就労継続支援B型事業所の今後はどうなる?開業前に知っておきたい制度動向

就労継続支援B型事業所の開業を検討する中で、「今後も制度として安定しているのか」「報酬改定や規制強化でどう変わるのか」といった点が気になる方も多いのではないでしょうか。

近年、B型事業所は急速に数を増やしてきた一方で、総量規制の導入や報酬制度の見直しなど、事業環境は変化しています。

この記事では、就労継続支援B型における市場動向や直近の制度改正の内容を整理したうえで、開業エリアの選定や事業計画に落とし込む際に押さえておきたいポイントを解説します。

就労継続支援B型における市場動向と制度変更の背景

就労継続支援B型を取り巻く環境は、事業所数の急増とそれに伴う制度側の見直しが同時に進んでいる状況にあります。まずは事業所数・利用者数の推移と、直近の報酬改定の内容から確認します。

事業所数および利用者数の推移

就労継続支援B型は、近年、事業所数・利用者数ともに大きく増加してきたサービスです。就労移行支援やA型と比べて対象となる利用者の範囲が広く、参入障壁も低いことから、営利法人を含む多様な事業者が開設を進めてきました。

就労継続支援B型の事業所数推移

就労継続支援B型の利用者数推移

(出典:厚生労働省「令和6年度報酬改定後の主なサービスの動向について」より作成)

一方で、この急速な拡大は行政側でも課題として認識されています。事業所が急増した結果、地域によっては利用者確保をめぐる競争が激化し、支援の質のばらつきや、給付費全体の増加という財政的な課題も指摘されるようになりました。

開業を検討する際は、こうした「量の拡大から質の担保へ」という政策の転換点にあることを前提に、事業計画を立てる必要があります。

令和6年度報酬改定の影響と令和8年度臨時改定の概要

令和6年度(2024年度)の報酬改定では、平均工賃月額の算出方法が見直されました。従来は工賃支払対象者数を分母としていたところ、一日当たりの平均利用者数を分母とする方式に変更されたことで、全国平均の工賃月額が約6,000円上昇する結果となりました。これにより、想定より高い報酬区分を算定する事業所が増加し、B型全体の総費用額が前年度比で大きく伸びる事態につながりました。

この状況を受け、本来3年ごとに行われる報酬改定を待たずに、令和8年(2026年)に「期中改定」として臨時の見直しが実施されました。主な内容は次の3点です。

①基本報酬の算定基準となる平均工賃月額の区分

基本報酬の算定基準となる平均工賃月額の区分について、令和6年度改定で生じた上昇分を踏まえ、基準額が3,000円引き上げられました。ただし、令和6年度改定前後で区分が上がっていない事業所は対象外とされ、区分が下がる事業所についても減少幅を緩和する新たな区分が設けられています。令和8年6月から適用されています。

②新規指定事業所に対する応急的な報酬単価

令和8年6月1日以降に新規指定を受ける事業所については、令和9年度の報酬改定までの間、基本報酬が本来の水準から約1.6%減額されます。既存事業所には適用されません。

ただし、強度行動障害や医療的ケアが必要な方を受け入れる事業所、離島や山間地域に所在する事業所などは、地域で必要とされるサービス提供を阻害しないよう配慮の対象となっています。

③就労移行支援体制加算の算定人数上限

就労移行支援体制加算についても見直しが行われました。一般就労への移行者数に応じて加算される仕組みですが、これまでは算定人数に上限がありませんでした。その結果、一部で意図しない利用が見られたことから、1事業所あたり算定できる人数に上限が設けられています。令和8年4月から適用されており、他の見直しより早い時期からの実施となっています。

このように、これから開業する事業所にとっては、新規指定の時期によって基本報酬の水準が変わる可能性があるという点を事業計画に反映しておく必要があります。

各自治体における総量規制(指定制限)の動向

報酬制度の見直しに加えて、開業を検討するうえでもう一つ避けて通れないのが、自治体ごとの総量規制の動向です。地域によって規制の有無や運用が異なるため、開業予定地域の選定に直接関わってきます。

需給バランスに伴う新規指定制限の現状

就労継続支援B型は、障害者総合支援法第36条第5項に基づく「総量規制」の対象サービスです。これは、都道府県知事や市区町村が地域の障害福祉計画で定める必要利用定員総数に対して供給量が既に達している、またはその指定によって上回ると判断した場合に、新規の事業所指定を行わないことができる仕組みです。

総量規制の実施状況は自治体によって大きく異なります。実際に規制を導入している自治体は全国でおよそ1割程度とされていますが、B型事業所数の伸びが著しい地域では導入が進んでいます。

一例として、京都市では市内5つの障害福祉圏域すべてにおいて、令和7年11月1日から総量規制が開始されています。規制期間は令和7年度・令和8年度が対象とされ、現時点ではいずれの圏域も供給量が必要見込み量を上回っているため、令和8年度向けの公募実施は行われません。今後、供給量が必要見込み量を下回る圏域が出てくれば、その圏域から順に事業者指定の公募制へ移行するとされており、令和9年度以降にこうした運用が始まる可能性があります。

参照:京都市情報館「就労継続支援B型事業所の指定に係る総量規制の実施について」

このように、総量規制は「規制されたら終わり」ではなく、需給状況の変化に応じて公募制など別の形で新規参入の道が再び開かれる可能性がある制度です。開業を検討する地域が現在規制対象になっている場合でも、今後の状況を継続的に確認しておく価値があります。

なお、こうした規制エリアでは、新規指定そのものではなく、既存事業所の事業承継やM&Aによる参入という選択肢も参入戦略の一つとして挙げられています。

地域特性を踏まえたエリア選定の重要性

総量規制の広がりは、国や自治体の方針が「量の確保」から「質の向上」へとシフトしていることの表れでもあります。事業所数を増やすこと自体が政策目標ではなくなりつつある中、開業を検討する際は、その地域が本当にサービスを必要としているかどうかを見極める視点がより重要になっています。

具体的には、自治体が策定する障害福祉計画における必要利用定員総数と実際の事業所数・定員数を比較し、供給が不足している地域か、既に飽和状態にある地域かを事前に把握しておく必要があります。

また、報酬面での配慮措置とは別に、総量規制の指定そのものについても強度行動障害や医療的ケアが必要な方など、受け入れ先が限られている対象者層に特化した事業所は、対象地域であっても例外的に指定が認められる場合があります。地域のニーズと自事業所の支援内容を照らし合わせ、他事業所との差別化を図ることが、開業判断における重要な要素になります。

今後の就労継続支援B型の運営において鍵となる4つの重点施策

制度が「量の確保から質の向上」へと移行していく中で、事業所側にも運営スタイルの見直しが求められています。ここでは、今後の運営において特に重要になると考えられる4つの施策を整理します。

平均工賃向上に向けた生産活動の強化

基本報酬の算定基準が平均工賃月額に連動する仕組みである以上、生産活動の収益性を高めることは経営の安定に直結します。単純な内職作業のみに依存せず、企業からの業務委託や自主製品の販路拡大など、収益性の高い生産活動の仕組みを構築することが求められます。

一般就労への移行支援に対する評価

就労移行支援体制加算の見直しにより、算定できる人数に上限が設けられたことを踏まえると、今後は移行者数だけでなく、移行後の定着支援まで含めた質の高い支援体制が評価される方向に進むと考えられます。一般就労への移行を単発の実績としてではなく、継続的な支援プロセスとして設計する視点が必要です。

ICT活用による業務効率化とコンプライアンス強化

利用者の工賃管理や日々の記録業務、職員の勤怠・給与管理などの事務負担は、報酬制度の複雑化に伴って増加する傾向にあります。ICTを活用した業務効率化は、職員が支援業務に専念できる環境を整えるだけでなく、不正受給や算定誤りといったコンプライアンス上のリスクを軽減する効果もあります。

人材確保とサービス管理責任者の体制構築

処遇改善加算の拡充が進む一方で、福祉人材の確保は業界全体で依然として大きな課題です。サービス管理責任者の配置体制を含め、安定した人員体制をどのように構築するかは、開業前の段階から検討しておく必要があります。

就労継続支援B型で安定的な事業運営を実現するためのポイント

ここまで見てきた制度動向や重点施策を踏まえ、実際に開業準備を進める段階で確認しておきたい実務上のポイントを整理します。

物件契約前における総量規制の確認と事前協議の徹底

物件を契約してから総量規制により指定を受けられないという事態を避けるため、開業を予定する自治体の障害福祉担当窓口に事前相談を行い、指定の可否や必要な手続きを確認しておくことが重要です。自治体によっては事前相談の完了が指定の前提条件となっている場合もあります。

基本報酬改定を織り込んだ事業計画の策定

令和8年度の臨時改定により、新規指定のタイミングで基本報酬が変わる可能性があります。指定を受ける時期によって想定される収益に差が出ることを踏まえ、複数のシナリオを想定した事業計画を策定しておくことが望まれます。

人員配置基準の最適化と各種加算の取得

基本報酬は、職員の配置状況や定員数によっても単位数が変動します。人員配置基準を満たしつつ、算定可能な加算を漏れなく把握し、経営効率を高める体制を整えることが安定運営の基盤となります。

地域ニーズに対応した独自支援モデルの構築

総量規制の動向を踏まえると、今後の新規開業では他事業所との差別化がより重要になります。地域で対応が不足している障害特性への支援や独自の生産活動モデルを構築することが、事業の持続性を高める要素になります。

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まとめ

就労継続支援B型は、事業所数の急増を背景に、総量規制と報酬制度の両面で見直しが進んでいる分野です。令和8年度の臨時改定は新規事業所を対象としたものであり、既存事業所には適用されないという点を正しく理解しておく必要があります。

開業を検討する際は、制度動向の把握に加えて、地域の需給バランスの確認、事業計画への制度変更の反映、差別化された支援モデルの構築という3つの視点を踏まえることが、安定的な事業運営への第一歩となります。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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この記事の執筆者
かべなしメディア編集部 株式会社エス・エム・エス

事業者への記録・請求ソフト導入支援経験者や、障害福祉・介護業界に長く携わるメンバーが在籍。障害福祉サービス事業所の開業、経営、日々の運営業務に役立つ情報を発信しています。

※掲載内容はすべて記事公開時点のものです。

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