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就労移行支援とは?支援内容や他の就労支援との違い・収益構造まで徹底解説

公開日: 更新日:
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就労移行支援とは?支援内容や他の就労支援との違い・収益構造まで徹底解説

就労移行支援とは、一般企業への就職を希望する障がいのある方に対して、就職に必要な訓練や活動のサポートを提供するサービスです。

この記事では、就労移行支援のビジネスモデルや他の就労支援サービスとの違い、開業に必要な要件まで解説します。ぜひ最後までご覧ください。

就労移行支援とは?

就労移行支援とは、障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスの一つです。

一言で言えば、「一般企業への就職を目指す障がいのある方に対し、必要なスキルの習得や求職活動を支援する通所サービス」です。

職場訪問等によるサービスを組み合わせて支援を行うこともあります。

利用期間には原則として「原則24ヶ月(2年間)以内」という期限が設けられています。利用者はこの期間内に、事業所に通いながらビジネスマナーや職業スキルを身につけ、企業への就職を目指します。

就労移行支援の利用対象者

就労移行支援の対象者は、

■ 一般就労等を希望し、知識・能力の向上、実習、職場探し等を通じ、適性に合った職場への就労等が見込まれる障害者
■ 通常の事業所に雇用されている障害者であって主務省令で定める事由により当該事業所での就労に必要な知識及び能力の向上のための支援を一時的に必要とする障害者
※ 休職者については、所定の要件を満たす場合に利用が可能であり、復職した場合に一般就労への移行者として取り扱う。
※ 65歳に達する前5年間障害福祉サービスの支給決定を受けていた者で、65歳に達する前日において就労移行支援の支給決定を受けていた者は当該サービスについて引き続き利用することが可能

引用元:厚生労働省「障害者の数(在宅・施設)

と定められています。

そのため希望すれば誰でも利用できるわけではなく、一般企業への就労が可能であると認められる方のみ対象となります。

就労移行支援の支援内容

就労移行支援では、一般就労等への移行を目的として、事業所内での作業などを通じた就労に必要な訓練を行ったり、利用者の適正にあった職場探しをしたりします。

その他にも、就労後に安定的に職場定着するための支援なども実施しています。

下記の表では、具体的な支援内容の例をまとめました。

項目 内容
基礎訓練・スキル習得 生活リズムの安定やビジネスマナー、PCスキル、軽作業など、働くための土台作りを行います。近年ではプログラミングやWebデザインに特化した事業所も増えています。
企業実習(インターンシップ) 実際の企業で実習を行い、自分に合った職種や職場環境を確認します。
就職活動支援 履歴書の添削、面接練習、ハローワークへの同行など、内定獲得に向けた具体的な活動を支援します。
職場定着支援 就職後も、職場での悩み相談や企業側との調整を行い、長く働き続けられるよう最長3年間のサポート(就労定着支援)へ繋げます。

就労継続支援とその他の就労支援との違い

就労移行支援とよく並列で語られるものとして、就労継続支援A型/B型・就労定着支援・就労選択支援という事業があります。

具体的には「目的・支援内容」「雇用契約の有無」が大きく異なります。

項目 就労移行支援 就労継続支援A型 就労継続支援B型 就労定着支援 就労選択支援
目的・支援内容 ・一般就労に向けた訓練
・就職活動に関わる支援
・働く場所や生産活動の場の提供
・雇用契約に基づく就労機会の提供
・能力が高まった方への一般就労に向けた支援
・働く場所や生産活動の場の提供
・能力が高まった方への一般就労に向けた支援
・一般就労後に長く働き続けるための相談、企業/関係機関との連絡調整 ・一般就労や就労継続支援などの利用前に、適切な進路を選択するためのアセスメントを行う。
雇用契約 なし あり なし なし(就職先とはあり) なし
給与・工賃 原則なし 給与(最低賃金が保障される) 工賃(生産活動に応じた金額) なし なし
利用期限 原則2年以内 原則なし 原則なし 最長3年間の1年更新 最長6ヶ月

就労移行支援の需要と市場の動向

就労移行支援の利用実人員数は、下記のグラフのとおり2019年より減少傾向にあります。

(出典:厚生労働省「社会福祉施設等調査:結果の概要」より作成)

また、就労移行支援の事業所数についても、2018年より同様に減少の傾向が見られます。

(出典:厚生労働省「社会福祉施設等調査:結果の概要」より作成)

就労移行支援の収益構造

就労移行支援では、サービス提供を行った対価として得る「障害福祉サービスの報酬」が主な収入になります。

障害福祉サービスの報酬の構造は、

  1. 基本報酬
  2. 加算・減算

に分類することができます。

「1. 基本報酬」「2. 加算・減算」それぞれで「単位」というものを取得し、合算した単位数に対して地域ごとに決まっている「1単位あたりの単価」を乗算して最終的な金額を算出します。

そのうえで、負担割合に応じてサービス利用者の方と国保連(国民健康保険団体連合会)に対して請求を行うことになります。

就労移行支援では、「1.基本報酬」のベースとなる報酬体系については、基本的に「利用定員数」と「就職後6ヵ月以上の定着率」に応じて報酬が算定されます。

つまり、多くの利用者を集めることができ、しっかりと就職先に定着できるような支援を提供できるほど、報酬が高くなる仕組みです。

例えば、「就労移行支援サービス費(Ⅰ)一般型」は以下のように単位数が設定されています。

利用者1名が1日利用した場合の単位数 就職後6か月以上の定着率
0割 0割超

1割未満

1割以上

2割未満

2割以上

3割未満

3割以上

4割未満

4割以上

5割未満

5割以上

20人以下 479単位 519単位 569単位 719単位 879単位 1,020単位 1,210単位
21人以上

40人以下

432単位 466単位 524単位 649単位 743単位 881単位 1,055単位
41人以上

60人以下

413単位 446単位 515単位 614単位 711単位 857単位 1,023単位
61人以上

80人以下

387単位 418単位 494単位 562単位 664単位 816単位 968単位
81人以上 364単位 392単位 478単位 516単位 625単位 779単位 935単位

「就職後6か月以上の定着率」については、「前々年度・前年度の就労定着数の合計数」を「前々年度・前年度の利用定員数の合計数」で割ることで算出します。

開業から2ヵ年度が経つまでは、原則として就労定着率30%以上40%未満の区分で単位数を算定します。

また、上記で決まる基本報酬に加えて、加算・減算についてはさまざまなものが存在します。

訪問支援の実施や医療への連携、また視覚聴覚に障がいのある方の支援体制などによっても加算があります。

詳しい加算・減算の一覧は下記の記事にまとめているので、ぜひご覧ください。

【2024年度改定対応】就労移行支援の加算・減算一覧

就労移行支援の開業・立ち上げに必要な条件

就労移行支援を開業・運営していくためには、法人格を有した上で3つの条件を満たしている必要があります。

  • 法人格を有している
  • 人員基準を満たす
  • 設備基準を満たす
  • 運営基準を制定し遵守する

人員配置基準では、管理者、サービス管理責任者以外にも、就労支援員や職業指導員、生活指導員なども利用者数に応じて定められています。

設備基準には、指導訓練室の広さや、相談室の条件、その他設備についてもさだめられており、これらをすべて満たしている必要があります。

細かい基準や、開業までの流れについては、下記の記事に詳細にまとめているので、ぜひご覧ください。

就労移行支援の開業・立ち上げに必要な資格や開設までの流れとは?

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就労移行支援の開業には、半年から1年ほどの準備期間が必要です。

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まとめ

就労移行支援は、障害を持つ方の「働きたい」という想いを実現し、人材不足に悩む企業とを繋ぐ、非常に社会貢献性の高い事業です。

ビジネスモデルとしては、A型事業所のような人件費(賃金)負担のリスクが低い一方、「就職・定着」という成果がダイレクトに収益に跳ね返る側面を持っています。

まずはご自身の事業計画が要件を満たしているか、また地域の競合状況はどうなっているか、入念なリサーチから始めてみてはいかがでしょうか。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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この記事の執筆者
かべなしメディア編集部 株式会社エス・エム・エス

事業者への記録・請求ソフト導入支援経験者や、障害福祉・介護業界に長く携わるメンバーが在籍。障害福祉サービス事業所の開業、経営、日々の運営業務に役立つ情報を発信しています。

※掲載内容はすべて記事公開時点のものです。

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