就労継続支援B型において、策定が必要な「工賃向上計画」。事業所で働く利用者がより自立した生活を送るために、この取り組みが行われています。 現行の計画期間は令和6年度から令和8年度までの3か年です。工賃向上計画を提出していない場合、就労継続支援B型サービス費(Ⅰ)~(Ⅲ)の算定に影響することもあるため、正しく理解しておく必要があります。
この記事では工賃向上計画の目的や項目、書き方のポイント、記入例に加え、よくある質問についても紹介します。
ぜひ最後までお読みください。
カンタン要約:工賃向上計画とは?
- 工賃向上計画とは、就労継続支援B型事業所が利用者の工賃水準を引き上げるために、目標工賃額と具体的な取り組みを3年単位で定める計画です。現行の計画期間は令和6年度から令和8年度までです。
- 就労継続支援B型サービス費(Ⅰ)~(Ⅲ)を算定する事業所は、計画の作成・提出が算定要件となっています。
- 作成した計画は自治体へ提出し、実績とあわせてWebサイト等で公表することが求められます。
就労継続支援B型の工賃向上計画とは?
工賃向上計画とは、就労継続支援B型で働く利用者が受け取る「工賃」について、どのようなことをして向上させていくのかを3年計画で定めたものです。障害のある方が自立した生活を送るため、工賃の水準を向上させようと2012年度(平成24年度)以降、策定が求められるようになりました。
工賃向上計画は本来、就労継続支援B型事業所を対象とした仕組みですが、生産活動を行っている就労継続支援A型事業所や生活介護事業所、地域活動支援センターであっても、事業所側が希望すれば同様の計画を作成することが認められています。
工賃とは?
就労継続支援B型において、雇用契約を結んでいない状態での生産活動の対価として支払われる金銭のことを「工賃」と呼びます。利用者は事業所等で行う活動の対価に、工賃を受け取ります。
この工賃を高めるために、事業所としてどのような取り組みを行うかを定義したものが工賃向上計画です。
就労継続支援B型の工賃向上計画の項目
工賃向上計画に記載が必要な項目は以下の通りです。
- 対象となる3年間における各年度の目標工賃月額
- 対象となる3年間で具体的に取り組む施策
- その他
就労継続支援B型の工賃向上計画の書き方
事前情報の収集
まずは工賃向上計画を作成するための準備をします。地域ごとに工賃向上計画の様式が異なる場合がありますので、最新の様式を取得してください。
前年実績の把握
次に、目標値を算出するために前年度の実績を確認してください。利用者数や職員数、現状の工賃などを整理して把握し、工賃に影響しうる要素を洗い出しましょう。
向上目標の設定
前年までの結果を基に、向上の目標値を設定します。また、目標値だけでなく、具体的にどのような方法でそれを達成するのかや達成に向けた組織体制についても記入しましょう。
工賃向上計画は指導員だけに任せるものではなく、管理者が先頭に立って進めることが求められています。取組の道筋を工程表のような形で可視化し、職員や利用者、家族にもオープンにしていくと、計画全体への理解と協力を得やすくなります。
計画を記載した書類の作成・提出
最初に用意した様式に計画を落とし込み、期限までに自治体に提出します。なお、作成した計画と実績については、Webサイト等でも積極的な公開が促されています。
就労継続支援B型の工賃向上計画の例
記入例は各地域のWebサイト等に掲載されており、工賃向上計画の様式と一緒にダウンロードすることが可能です。
以下では参考として、福岡県の工賃向上計画の記入例を掲載します。
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就労継続支援B型の工賃向上計画の注意点
- 工賃向上計画は3カ年計画なので、3カ年の途中で新たに指定を受ける場合には、指定を受ける月から最後の年の年度末までの計画を立てます。
- 就労継続支援B型サービス費(Ⅰ)~(Ⅲ)を算定する事業所は、工賃向上計画の策定・提出が算定要件となっています。
- 現行の計画期間は令和6年度から令和8年度までの3か年です(厚生労働省「工賃向上計画」を推進するための基本的な指針の一部改正〔令和6年3月29日付障発0329第42号〕)。令和9年度以降の計画については、今後、国や都道府県から新たな方針が示される見込みです。
- 工賃向上計画が未整備の場合、運営指導で指摘を受ける可能性があるほか、就労継続支援B型サービス費(Ⅰ)~(Ⅲ)を算定できなくなるおそれがあります。期限内の作成・提出を徹底しましょう。
- 目標工賃達成指導員を配置し、工賃向上計画に基づく取り組みを行うことで算定できる加算もあります。要件や単位数については、目標工賃達成指導員配置加算・目標工賃達成加算についての記事で詳しく紹介しています。
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よくある質問
Q. 工賃向上計画の記入例はどこで確認できますか?
A. 各都道府県が公表している記入要領や記入例を確認するのが確実です。様式や記載の粒度などは自治体ごとに異なるため、本記事の福岡県の例はあくまで参考とし、実際の提出時は事業所が所在する都道府県(指定都市・中核市)が公開している最新の様式・記入例をご利用ください。
Q. 工賃向上計画を提出しないとどうなりますか?
A. 就労継続支援B型サービス費(Ⅰ)~(Ⅲ)を算定している事業所では、工賃向上計画を作成していないと該当するサービス費を算定できません。提出期限や必要書類は自治体ごとに異なるため、所在地の自治体の案内にあわせて早めに準備しましょう。
Q. 計画どおりに工賃が向上しなかった場合、罰則はありますか?
A. 厚生労働省の基本方針では、工賃向上計画について罰則に関する規定は示されていません。示されているのは、各年度の実績を踏まえて達成状況を点検・評価し、必要に応じて計画を見直していくという運用の仕組みです。目標が未達成の場合も、この点検・評価と見直しのプロセスの中で対応することになります。
Q. 工賃向上計画は年度の途中で見直すことができますか?
A. 見直すことができます。工賃向上計画は一度提出したら固定というものではなく、前年度の実績をもとに毎年度、達成状況を確認しながら運用していくことが前提とされています。変更が生じた場合は、あらためて自治体への提出が必要になるケースが多いため、提出先の自治体に確認のうえ対応しましょう。
まとめ
工賃向上計画は、就労継続支援B型で働く利用者の工賃水準を引き上げるために欠かせない書類です。現行の計画期間である令和6年度から令和8年度までを見据え、現状分析から目標設定、具体的な施策の検討まで、段階を踏んで作成することが大切です。
また、就労継続支援B型サービス費(Ⅰ)~(Ⅲ)を算定する事業所にとっては、計画の作成・提出が算定要件にもなっています。 本記事で紹介した書き方のポイントや記入例、よくある質問を参考に、事業所の実情に合った工賃向上計画の策定にお役立てください。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。
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