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グループホーム(共同生活援助)では、利用者の金銭管理も支援の一つです。しかし、「利用者や家族とのトラブルにならないか心配」「金銭管理にどこまで事業所が介入すればよいのか」といった悩みをもつ事業者の方も少なくありません。
金銭管理は利用者の財産を守る重要な役割を持ちますが、ルールが曖昧なままだと大きなトラブルが発生する可能性もあります。また、適切な金銭管理が行われているかは行政の運営指導(実地指導)でも厳しく確認される項目です。
本記事では、グループホーム(共同生活援助)における金銭管理の基本原則と実際に起こりうるトラブル例、運営指導で確認されるポイントなどを解説します。
ぜひ最後までお読みください。
グループホーム(共同生活援助)における金銭管理とは
グループホームにおける金銭管理は、利用者の生活を支え、その財産を守る重要な業務です。
法的には障害者総合支援法において「日常生活上の援助」として解釈されており、正式なサービス提供の一部とされています。したがって、利用者保護と事業所の信頼性担保の両面から、客観的で透明性の高い管理体制の構築が求められます。
金銭管理の大前提は自己管理と自立支援
事業所が適切に金銭を管理することは非常に重要ですが、大前提として「利用者自身の自己管理」を基本とする視点が不可欠です。
事業所が管理を代行するのは、アセスメントの結果「本人のみでの管理が困難で、支援が必要」と判断された場合です。最初から事業所がすべてを管理してしまうのではなく、利用者が少しずつ自分でお金を管理できるようになるための「自立支援」を目的として関わることが求められます。
金銭管理の対象となるもの
事業所が支援を行う場合、対象となる金銭や物品には以下のようなものがあります。どこまでを事業所が管理(または支援)するのかを明確にすることが大切です。
- 日常生活費(食費・日用品費など):毎月の家賃や食費、日用品購入のための費用。
- 利用者の手持ち金・小遣い:本人が日々の生活で自由に使うためのお金。
- 預り金・通帳管理のケース:まとまった現金や、年金などが振り込まれる銀行通帳。
- キャッシュカード・クレジットカード:引き出しや決済に直結するため、取り扱いには特に注意が必要なもの。
- 印鑑:銀行印など、財産の移動に関わる重要な物品。
グループホーム(共同生活援助)での金銭管理の具体的ルール
事業所が利用者の金銭管理・保管を行う場合、利用者本人および家族とのトラブルを防ぐためにルールを徹底することが重要です。
金銭管理について、厚生労働省の通知で以下のように定められています。
【厚生労働省が定める要件】
①責任者及び補助者が選定され、印鑑と通帳が別々に保管されていること
引用元:厚生労働省「障害福祉サービス等における日常生活に要する費用の取扱いについて」
②適切な管理が行われていることの確認が複数の者により常に行える体制で出納事務が行われること
③利用者との保管依頼書(契約書)、個人別出納台帳等、必要な書類を備えていること
等が満たされ、適正な出納管理が行われることが要件となる。
これらの3つの要件に基づいて、適切な管理を行うための具体的なルールを確認していきましょう。
書面での同意書・委任状の締結
金銭管理を開始する前には、必ず本人や家族、成年後見人等と書面で「同意書」や「委任状」を締結します。これは、具体的な管理内容やルールに基づいて、金銭管理を依頼することの正式な合意(契約)となるものです。口頭での約束は、後々「言った・言わない」のトラブルや認識の齟齬を生む原因になります。事業所と利用者の双方を守るためにも、必ず書面で交わすようにしましょう。
通帳と印鑑の分散管理
通帳と印鑑は必ず別の場所に保管しましょう。万が一の紛失や不正引き出しのリスクを防ぐため、別々の鍵付き金庫等で管理する「分散管理」を徹底することが重要です。
金銭出納帳の作成とレシート保管
預かっている現金を出し入れした際は、必ず「金銭出納帳」に1円単位で記録します。あわせて、出金の証拠となるレシートや領収書は必ず原本を保管し、出納帳とセットで確認できるようにしておきましょう。
なお、金銭出納帳は利用者ごとに作成し、記録を残すようにしましょう。
複数の職員によるダブルチェックの徹底
現金の出し入れや帳簿の記入を職員1人で行うことは、管理の透明性やミス防止の観点から絶対に避けましょう。正確かつ適切な管理を維持するためにも、必ず管理者や他の職員と複数名で確認するダブルチェック体制の徹底が不可欠です。
定期的な残高確認と報告
月に1回など定期的に、帳簿の残高と実際の現金・口座残高が一致しているかを確認(棚卸し)しましょう。また、その結果をご家族や成年後見人へ定期的に報告することで、事業所の透明性と信頼性が高まります。
グループホーム(共同生活援助)で利用者自身が金銭を自己管理している場合に気を付けること
利用者本人が自己管理できている場合でも、完全に放任するのではなく日々の様子を見守ることが大切です。
特に詐欺や悪質商法には注意が必要です。不審なダイレクトメールが届いていないか、怪しい勧誘電話に出ていないかなどプライバシーに配慮しつつ気を配る必要があります。
また、利用者間のお金の貸し借りもグループホーム内で発生しやすいトラブルです。「ジュース代を貸した・借りた」などの小さなやり取りが、後に金銭トラブルに発展する可能性があるため、施設内での貸し借りは原則禁止とし、兆候があれば早めに対処することが求められます。
グループホーム(共同生活援助)で実際に起こりうる金銭管理トラブル例
ここでは、実際に起こりうる金銭管理に関するトラブル例をご紹介します。
財布のお金が減っているという利用者からの訴え
利用者本人がお金を使ったことを忘れているケースと実際に紛失・盗難に遭っているケースの両方が考えられ、対応が難航しやすいトラブルです。「いつ・いくら渡したか」の証拠となる記録を残し、日々の支出履歴をこまめに把握する体制を築いておきましょう。
利用者同士の貸し借りやおごり
前述した通り、利用者同士でのおごり合いやお金の貸し借りが発生する可能性があります。中には一方のみが金銭的負担を強いられるようなケースも起こり得るため注意が必要です。
過度な買い物や浪費などによる生活費の枯渇
ネットショッピングや趣味への過度な支出により、月末に食費や家賃などの生活費が枯渇してしまうことがあります。またそれにより、家賃等の滞納が起きることも考えられます。
職員の計算ミスによる帳簿のズレ
手計算や転記ミスにより、帳簿の残高と手提金庫の現金が合わず使途不明金が発生してしまうケースです。このような事態を避けるためにも、職員複数名によるチェック体制の徹底が重要です。
複数利用者の金銭の混同・渡し間違い
利用者複数人の買い物を職員がまとめて代行した際やお小遣いを手渡す際に、別の人のお金とお釣りが混ざってしまったり、違う利用者に渡してしまったりするヒューマンエラーです。利用者ごとに専用の財布や小袋を分けるなど、お金が混同しないための物理的な仕組み作りが有効です。
金銭管理に関して運営指導で確認されるポイント
運営指導では、利用者の財産が適切に守られているか、ルールが形骸化していないかが厳しく監査されます。特に以下のポイントは重点的に確認されます。
同意書・委任状は適切に取得されているか
同意書・委任状を適切に取得しているかに加えて、同意書が単に存在しているだけでなく、「適切なタイミング(管理開始前や変更時)で日付が記載されているか」「日々の小遣いのみなのか、通帳も含めるのかなど、事業所が管理する範囲が具体的に明記されているか」といったことが確認されます。
通帳と印鑑の保管および残高の管理について
前述した通帳と印鑑の管理について、それぞれが別で保管されているかが確認されます。セットでの保管は「いつでも引き出せる状態=私物化や横領のリスクが高い」とみなされ、指摘される可能性があります。
また、金銭出納帳の記録と実際に預かっている現金残高が1円単位で正確に一致しているかもチェックされます。使途不明金がある場合は運営基準違反を問われる可能性があるため、日々の正確な記帳が不可欠です。
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まとめ
グループホームで利用者の金銭管理を行う際は、事前の同意書の締結や複数名の職員によるダブルチェックなど、厳格なルールに基づく体制整備が不可欠です。金銭の取り扱いはトラブルに発展しやすいため、事業所としてのルールを明確化し、客観的な透明性と信頼性を担保できる運用体制を構築しましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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