就労移行支援の開業・立ち上げをするには、所轄庁で指定申請を行い、就労移行支援の事業者として指定を受けなければなりません。
また、自己資金だけでは開業資金が不足している場合、金融機関からの融資が必要なケースもあります。
これら指定申請や金融機関からの融資を受ける際に必要になるのが事業計画書です。
特に指定申請においては近年、事業所数の増加などに伴い審査が厳しくなっている傾向にあり、事業計画書の内容がより一層重要になります。
しかし、初めての開業・立ち上げだと「事業計画書の作成方法が分からない」といったお悩みをお持ちの方も少なくないでしょう。
この記事では、就労移行支援の開業・立ち上げを検討している方向けに、事業計画書の書き方をご紹介していきます。
また、記事の最後には、実際に事業計画書を書くときに使えるテンプレートの無料ダウンロードも可能ですので、ぜひご活用ください。
カンタン要約:就労移行支援の事業計画書とは?
- 事業計画書は、金融機関からの融資申請、指定申請の際の提出書類、経営者自身の事業の見通しの整理という3つの目的のために必要な書類です。
- 経営者の経歴、創業の経緯・動機、事業内容、商圏調査、人材採用、資金調達計画、損益計画の7項目を、具体的な数値や根拠を示しながら記載することが重要です。
- 行政庁や金融機関の担当者が、開業後も継続的に安定した運営ができるかどうかを判断できるよう、わかりやすく作成しましょう。
就労移行支援の事業計画書はなぜ必要?
就労移行支援の事業を立ち上げる際に事業計画書を書くのには、大きく3つの理由があります。
- 金融機関への融資を申請する際に提出するため
- 事業者としての指定を受ける際に提出するため
- 経営者として事業の見通しを立てるため
背景を理解した上でよりよい事業計画書を書くために、それぞれの理由について詳しくご紹介していきます。
金融機関への融資を申請する際に提出するため
立ち上げに必要な資金は、金融機関などから借り入れて補うケースも多いようです。
その場合、金融機関側としては貸し付けたお金の利子の支払いや元本の返済が可能なのかどうかを判断しなければなりません。
その際に必要なのが事業計画書です。
そのため、たとえ障害福祉サービスに詳しくない人が見ても内容が伝わる事業計画書を作成する必要があります。
事業者としての指定を受ける際に提出するため
就労移行支援の事業を開業する際には、所轄の行政庁に対して指定申請を行い、事業者としての指定を受ける必要があります。
申請の際には複数の書類の提出が求められ、そのうちの1つとして事業計画書を提出しなければならないのです。
指定を判断する行政庁の担当者は事業計画書を通じて、主に開業後も継続的に運営していけるのかどうかを確認します。
したがって、事業計画書では具体的な収支計画や事業展開の展望などを記載し、開業後も運営の見通しが立っていることを示す必要があります。
経営者として事業の見通しを立てるため
就労移行支援の事業を開業する際、まずは開業することも重要ですが、それ以上に開業後も安定した事業運営を続けていくことが重要です。
そのためには、事業計画書の作成を通じて収益の予測を適切に立て、事業の見通しを持つ必要があります。
就労移行支援の事業計画書の書き方
指定申請を行う行政庁の担当者や金融機関の窓口担当者といった主要な想定読者を踏まえたうえで、事業計画書に書くべき内容をまとめました。
事業計画書に書くべき内容には明確なルールは存在せず様々な型があるので、事業計画書に一般的に書いたほうが良いと言われている項目に絞ってご紹介していきます。
また、もし就労定着支援といった別の障害福祉サービスも開業する場合は、一つの項目に対してそれぞれの事業について記載していくなど、より読みやすくなるようなフォーマットを心がけましょう。
経営者の経歴
履歴書のように経歴をただただ箇条書きで記載するのではなく、職務経歴書のように就労移行支援の領域で活かせる自分自身のスキルや経験をアピールするように記載しましょう。
特に、今後は就労移行支援の事業を経営していくことになるので、経営者としての素質をアピールできるような内容も記載できると良いでしょう。
創業の経緯・動機
どのような動機から就労移行支援の事業を起業しようとしたのかを記載します。
特に、過去にどのような経験があったから起業しようとしたのか、また、現時点でどのような内容の事業をしたいのか、どのような事業を今後展開していきたいのかといった「過去ー現在ー未来」の流れで記載すると、より伝わりやすい内容になります。
事業内容
就労移行支援事業におけるサービス利用者への支援内容について記載していきます。
特に、他事業所との差別化のポイントを意識しながら具体的なプログラムやカリキュラムを表にまとめるなどして記載すると、指定申請や融資の窓口担当者がより事業の内容をイメージしやすくなります。
商圏調査の内容(市場分析等)
就労移行支援事業において、立地の条件は利用者が集まりやすいかどうかを予測する上で非常に重要な観点です。
具体的には「事業所へのアクセスの良し悪し」や「周囲の競合となる事業所の有無」、「就労移行支援に通所し得る人の数」などを商圏調査として確認できると良いでしょう。
指定申請や融資の面接においても、事業所を開設する場所については具体的な数値や根拠を踏まえて説明することが重要です。
人材採用
どのような職種、また、どのような資格を持った人をそれぞれ何人雇用するのかを記載します。
従業員に関する情報については、事業計画書内に記載する「提供するサービスや事業の内容」や「資金の内訳」など他の項目の記載内容とズレが生じないように注意が必要です。
資金調達計画
まず、就労移行支援の事業を立ち上げるためにどのタイミングでどれほどの資金が必要なのかを計算します。
例えば、開業するには法人設立費や物件の準備費用、備品代やスタッフの採用費などが発生します。
開業に必要な資金の総額が算出できたら、どのようにしてそれらの開業資金を調達するのかを計画します。
自己資金だけでは不足する場合、金融機関などから借り入れを行い、開業資金を補うケースが多いようです。
特に金融機関から借り入れを行う際には、『どれほどの金額を借り入れなければならないのか』、『どの程度まで利息の支払いは可能なのか』、『借り入れの元本は開業してからどのくらいで返済できるのか』を具体的な数字で示すようにしましょう。
資金調達の具体的な考え方についてより詳しく知りたい方や、就労移行支援の開業・立ち上げの全体的な流れについて知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
損益計画
将来的にどれほどの収入と支出を見込んでいるのかを説明するようにしましょう。
具体的には、創業した年とその後運営が軌道に乗った年度それぞれにおいて、収入と支出の予測を作成します。
収入については、サービスを利用する方の自己負担分や国保連(国民健康保険団体連合会)への請求分、行政からの補助金など漏れずに記載するようにしましょう。
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よくある質問
Q. テンプレートをそのまま使っても指定申請の審査は通りますか?
テンプレートはあくまで書き方の参考としてご活用ください。審査で重視されるのは、経歴や商圏調査、資金計画などの内容が具体的な数値や根拠に基づいて記載されているかどうかです。 テンプレートの項目構成を参考にしつつ、ご自身の事業の実態に合わせて内容を作り込むことが重要です。
Q. 就労移行支援と就労定着支援など複数のサービスを同時に開業する場合、事業計画書は分けて作成すべきですか?
必ずしも分けて作成する必要はありません。本文でもご紹介した通り、1つの事業計画書の中で項目ごとに各サービスの内容を記載していく形でも問題ありませんが、収支計画などはサービスごとに区別して記載し、読み手が理解しやすいフォーマットを心がけましょう。
Q. 事業計画書は指定申請の何日前までに準備すればよいですか?
自治体によって指定申請の受付スケジュールや必要書類の提出期限が異なります。 一般的に指定申請から指定までは1〜2ヵ月程度かかることが多いため、余裕を持って準備し、詳細は事業所を開設する自治体の窓口にご確認ください。
まとめ
ここまで、就労移行支援における事業計画書の書き方について解説してきました。
事業計画書の内容がしっかりとしていると、指定申請や融資を受ける際に、スムーズに審査を終えることができます。
また、開業後の安定的な事業運営において事業計画書は重要な役割を果たします。
就労移行支援の開業にあたって、まずは事業計画書の作成から取り掛かるようにしましょう。
今回のコラムでご紹介した内容が、みなさまの開業準備のお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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