障害福祉サービスを提供し、報酬を請求するためには、「どのようなサービスを提供したのか」を記録することが求められています。そのため、ケース記録を作成することは、現場における基本的な業務の一つとなっています。
ケース記録の不備は、運営指導での報酬返還請求に直結します。1件の不備が数十万円単位の返還につながるケースも珍しくありません。 本記事では、現場スタッフが書き方を理解するための基本情報だけでなく、経営者・管理者が把握しておくべきリスク管理の視点も含めて解説します。「記録の質=事業所の経営安定性」という意識で、ぜひ最後までお読みください。
今回は、「ケース記録」の書き方のポイントや記入例、記入における注意点などをご紹介しています。ぜひ最後までお読みください。
ケース記録(支援記録・サービス提供記録)とは
ケース記録とは、提供したサービスの具体的な内容を記録するための書類のことです。利用者の健康状態や食事・おやつの有無、実際に提供した支援の内容などを記録します。事業所によっては「支援記録」や「サービス提供記録」と呼ばれることもあります。
ケース記録は、報酬を請求するために適正なサービスを提供した場合に、それを証明するための書類であり、他にも個別支援計画を更新する際や職員間の情報共有する際の資料として活用します。
内容としては「なぜその支援をしたのか」「支援を通して何をねらったのか」「支援後の利用者の反応/結果」など、支援の理由・根拠や効果に関する情報も含める必要があります。
ケース記録(支援記録・サービス提供記録)はなぜ必要?
①運営指導で必要
ケース記録は運営指導の際に保険者から確認される書類の1つです。
請求の根拠となる書類のため、記録内容に漏れなど不備がある場合には適正なサービスを提供した確認が取れず、報酬の返還を求められる可能性があります。
②支援の質の向上につながる
ケース記録の内容を充実させることは、支援の質の向上にも繋がります。
日々の利用者の様子や反応を振り返ることで、利用者に合った支援かどうか、サービス計画に沿った支援ができているか、計画で掲げた目標が達成されつつあるかなどの判断材料になります。また、サービス時の職員自らの行動を振り返ることで、職員のスキルアップも期待できます。
③職員の情報共有の促進
職員間で利用者の支援に関する情報共有をケース記録で行うことで、コミュニケーションの活性化に繋がります。 また、コミュニケーションの量が増えるため、職場において何でも言える雰囲気の醸成にも役立つ上に、ケース記録を見ながら引継ぎを行うことで情報共有のミスを少なくすることができます。
④利用者家族との連携強化に
ケース記録は、事業所と利用者の家族との連携を強化するためのツールとしても活用できます。
ケース記録は家族へ支援内容を説明する際の根拠となり、利用者の状況やこれからの課題について、事業所と利用者・その家族との間で共通理解を持つことができ、利用者家族との信頼関係の向上に繋がるでしょう。
⑤加算取得・報酬最大化に直結
ケース記録は単なる義務書類ではなく、各種加算の算定根拠にもなります。 例えば、強度行動障害支援加算や個別サポート加算などは、記録の質と量によって算定の正否が判断されます。
記録が曖昧であれば、本来取得できるはずの加算を取り逃がすことになります。適切な記録管理は、事業所の収益を守る経営行為です。
⑥人材育成・離職防止につながる
記録の書き方が属人化していると、ベテランが辞めた際に支援の質が急落するリスクがあります。
記録を標準化・明文化することで、新人でも一定水準の支援記録が書けるようになり、育成コストの削減と早期戦力化につながります。
ケース記録(支援記録・サービス提供記録)の書き方
ここではケース記録の具体的な書き方と注意点を解説します。
記載すべき内容について
以下の事項を記入する必要があります。
- サービスの提供日及び提供時間
- 利用者名及び記録者名
- 提供した具体的なサービス内容 ※1
- 利用者の心身の状況 ※2
- その他利用者へ伝達すべき必要事項
※1 具体的なサービス内容が記録されていたとしても、個別支援計画に基づいたサービスではなく、適正なサービスを提供したと確認ができない場合は、報酬の返還対象となる可能性があります。
※2 利用者の心身の状況、置かれている環境、他の保健医療サービスまたは福祉サービスの利用状況等の把握に努めていることがわかる記録を残す必要があります。
書き方のポイント
誰が見てもわかりやすいこと
どの職員がみても利用者の状態・様子をイメージできるように、事実(客観的情報)と職員が思ったこと(主観的情報)を分けて書くことが重要です。必要な情報を記録からすぐに確認できるよう誤字脱字にも気を付けましょう。
具体的に書くこと
記録のときにはあいまいな言葉は使わずに具体的に書きます。
目標達成ができたかどうか評価ができない表現ではなく、観察して判断できる表現を使います。他の職員がその記録を見たときにできるだけ同じイメージを持ってもらえるよう具体的に書くと良いでしょう。
| 〇(具体的な表現) | ×(あいまいな表現) |
|---|---|
| 活動に初めから終わりまで参加する | 事業所に慣れる |
| 自由時間に他の利用者と一緒に活動する機会が増える | 他の利用者と仲良く過ごす |
記入における注意点
①押印について
事業所として利用者の確認印の欄を設けたケース記録の様式を使用している場合は、利用者からの確認の押印を受けることが望ましいとされています。
②記録の訂正について
記録に記載不備や誤りがあった場合は利用者に説明の上、訂正印を得るなど適切な対応をとりましょう。
また、複写式の用紙を使用している場合には、利用者に渡した記録(控え)についても、本人に説明の上、必要な訂正等を忘れずに行います。
③保存期間について
利用者に対するサービス提供の記録の保存期間は、提供した日から5年間です。
ケース記録の不備が招く経営リスク
運営指導(旧:実地指導)では、過去5年分のケース記録が確認対象となります。 以下のような不備が見つかった場合、報酬返還を求められる可能性があります。
- 記録の日付・時間帯の不整合
- 個別支援計画との内容の乖離
- 記録者名・利用者名の記載漏れ
- 支援内容が「〇〇を行った」のみで根拠・結果の記載がない
特に注意が必要なのは、記録の保存義務(5年間)と電子記録の要件です。
紙記録の場合は改ざん防止・保管場所の確保が必要であり、電子化する場合は厚生労働省の「電子保存の要件」を満たす必要があります。 記録の「量」だけでなく「質」と「管理体制」を定期的に点検することが重要です。
ケース記録のよくある質問
Q. ケース記録はどのくらいの頻度で書くべきですか?
A.サービスを提供した日ごとに記録する必要があります。 週1回まとめて書くといった方法は、記録の正確性が下がるだけでなく、運営指導で指摘される可能性があります。
Q. 電子記録(タブレット・PC入力)は認められますか?
A.認められています。 ただし、厚生労働省が定める電子保存の3原則(真正性・見読性・保存性)を満たすシステムを使用する必要があります。 紙に印刷して保存する必要はなく、適切なシステムであればそのまま電子保存が可能です。
Q. 利用者本人が記録を見たいと言ったら開示する必要がありますか?
A.個人情報保護法に基づき、利用者本人からの開示請求には原則として応じる必要があります。 記録を書く際は、開示されることを前提とした丁寧な表現を心がけましょう。
Q. 記録の保存期間が過ぎたら破棄してもいいですか?
A.法定の保存期間(5年)を過ぎれば破棄は可能ですが、訴訟リスク等を考慮し、 事業所の判断でより長く保存することも検討してください。
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※こちらのひな形に関しては、ユーザー様の責任にてご利用ください。また、ご利用の際には、行政からの通知、事業所の最新の状況等に応じて、項目や内容を編集してください
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まとめ
ここまで、ケース記録について解説してきましたがいかがでしたでしょうか。本記事にてご紹介した内容が、皆様のお役に立てば幸いです。
また業務時間の短縮、業務効率化にはソフトの活用がオススメです。
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最後までお読みいただきありがとうございました。
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事業者への記録・請求ソフト導入支援経験者や、障害福祉・介護業界に長く携わるメンバーが在籍。障害福祉サービス事業所の開業、経営、日々の運営業務に役立つ情報を発信しています。





