2024年(令和6年)度の障害福祉サービス等報酬改定では、生活介護の基本報酬や加算・減算の仕組みに複数の見直しが行われました。基本報酬がサービス提供時間ごとの設定に変わったことや、入浴支援加算・栄養関連加算などの新設加算により、事業所の収支や日々の運営に直結する変更が含まれています。
この記事では、厚生労働省が公表している令和6年度報酬改定資料に基づき、生活介護における主な変更点を整理しています。その後の制度の制度動向(令和8年度臨時報酬改定を含む)を確認したい方は、以下の資料もあわせてご覧ください。
また、事業所運営に密接に係る内容として、「令和8年度臨時報酬改定」は事業所を運営する上で無視できない話題です。
かべなしクラウドは、前回の令和6年度改定から、今回の臨時改定に至るまでの流れや、具体的な変更点についてわかりやすく解説した資料をご用意しています。
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カンタン要約:生活介護の報酬改定(令和6年度)とは?
- 令和6年度の生活介護報酬改定では、基本報酬がサービス提供時間ごとの設定に変わり、短時間利用の事業所は減収の可能性がある一方、長時間支援を行う事業所はより手厚く評価される仕組みになりました。
- 入浴支援加算・喀痰吸引等実施加算・栄養スクリーニング加算・栄養改善加算など、医療的ケアや栄養管理を評価する加算が新設されました。
- 施行は原則令和6年4月1日で、福祉・介護職員等処遇改善加算の一本化のみ令和6年6月からの適用です。
①サービス提供時間ごとの基本報酬の設定 ・②利用定員規模ごとの基本報酬の設定
基本報酬の設定は、よりサービス提供の実態に沿った報酬算定とするため、従来の利用定員20人以下~81人以上の中で区分ごとに単位を分ける方法から、5人以下~81人以上の中を所要時間で分け、区分ごとに単位を分ける方法により細かく変更されました。事業所の定員規模に応じた報酬単価が再編され、効率的な運営が可能な大規模事業所と、固定費負担の大きい小規模事業所のバランスを考慮して区分が整理されています。
実務としては、サービス管理責任者は個々の利用者の個別支援計画に基づき、標準的な提供時間を明確にする必要があります。短時間の利用が多い事業所は減収の可能性がある一方、長時間支援を行う事業所は適切に評価される仕組みです。
単位数の詳細はこちらのp.111~をご覧ください。
③延長支援加算の見直し
基本報酬が時間区分制になったことに伴い、延長支援加算の定義も整理されました。運営規定で定めた「標準的な提供時間」を超えて支援を行った場合に算定可能です。
一方で、前後の時間区分との重複算定は不可となっています。
例えば、9時間以上の区分を算定している場合に、さらに延長支援を重ねる際のルールなどを正確に把握しておきましょう。
見直し後の延長支援加算は、所要時間に応じて次のとおり設定されています。
- 所要時間9時間以上10時間未満の場合:100単位/日
- 所要時間10時間以上11時間未満の場合:200単位/日
- 所要時間11時間以上12時間未満の場合:300単位/日
- 所要時間12時間以上の場合:400単位/日
なお、施設入所者については延長支援加算は算定できない点にもあわせて留意しましょう。
④常勤看護職員等配置加算の拡充
重度障害者や医療的ケア児・者の受け入れ体制を強化するために、加算が拡充されます。
人材確保が難しい看護職を常勤で雇用する事業所を支援し、日中の医療的ケアが必要な方へのサービス品質を担保します。
⑤人員配置体制加算の拡充
より手厚いケアを評価するため、従来の人員基準を上回る配置が評価されます。手厚い「1.5:1」や「2:1」の配置を行っている事業所に対する区分が新設されました。
重度者が多い事業所において、スタッフのゆとりを持った配置を収益面でバックアップする内容となっています。
⑥入浴支援加算の創設
今回の改定で大きな目玉となった、入浴支援の個別評価です。利用者の身体状況に応じた入浴支援を行った場合に算定できます。
加算(Ⅰ)は適切な入浴支援の実施、加算(Ⅱ)は医師等と連携した「自宅での入浴」に向けた評価・練習が要件となります。この加算では、単に「お風呂に入れる」だけでなく、個別の状況に合わせた介助方法の検討が求められます。
入浴支援加算: 80単位/日
医療的ケアが必要な者又は重症心身障害者に対して、入浴に係る支援を提供した場合、1日につき所定単位数を加算する。
⑦喀痰吸引等実施加算の創設
この報酬改定において、医療的ケアの実施を直接評価する喀痰吸引等実施加算が新設されました。この加算は、認定特定行為業務従事者(資格を持った介護職員等)が喀痰吸引や経管栄養を実施した場合に算定されます。
これにより、看護師だけでなく、教育を受けた介護職員が日常的に医療的ケアを担っている現場の実態が報酬として認められました。
⑧リハビリテーション職の配置基準
生活介護における機能訓練の質を向上させるための見直しです。人員配置基準として、看護職員、理学療法士と作業療法士の他に言語聴覚士が加わりました。
⑨リハビリテーション加算におけるリハビリテーション実施計画の作成期間の見直し
リハビリテーション実施計画の作成期間が従来の3ヶ月ごとから、個別支援計画と同様に6か月ごとに変更されました。
⑩栄養状態のスクリーニング及び栄養改善の取組の充実
生活支援員や管理栄養士等の他職種と連携して、全利用者の栄養状態のスクリーニングを行うとともに、栄養状態にリスクのある利用者に対しては、個別に栄養管理を行うなどの栄養ケア・マネジメントを行った場合を評価するための加算を創設する。
栄養スクリーニング加算 5単位/回
利用開始及び利用中6月ごとに利用者の栄養状態について確認を行い、当該利用者の栄養状態に関する情報を、当該利用者を担当する相談支援専門員に提供した場合、1回につき所定単位数を加算する。
栄養改善加算 200単位/回
下記の1.から4.までの要件全てに合致する生活介護事業所で、低栄養または過栄養状態にある利用者、またはそのおそれのある利用者が対象。 その利用者の栄養状態の改善を目的に、個別に実施される栄養食事相談などで心身の状態の維持・向上を促した場合(以下「栄養改善サービス」という。)、1ヶ月に2回まで所定単位数を加算する(3ヶ月以内のみ)。 ただし、栄養改善サービスの開始から3ヶ月ごとの利用者の栄養状態の評価の結果、栄養状態が改善せず、栄養改善サービスを引き続き行うことが必要な利用者については引き続き算定可能。
要件
- 当該事業所の従業者として又は外部との連携により管理栄養士を1名以上配置していること。
- 利用者の栄養状態を利用開始時に把握し、管理栄養士等が共同して、利用者ごとの摂食・嚥下機能及び食形態にも配慮した栄養ケア計画を策定していること。
- 利用者ごとの栄養ケア計画に従い、必要に応じて当該利用者の居宅に訪問し、管理栄養士等が栄養改善サービスを行っているとともに、利用者の栄養状態を定期的に記録していること。
- 利用者ごとの栄養ケア計画の進捗状況を定期的に評価していること。
⑪福祉専門職員配置等加算の算定方法の見直し
生活介護は、常勤職員が多く配置されていることや、常勤職員の勤続年数が長いことを適切に評価するため、福祉専門職員配置等加算(Ⅰ)または(Ⅱ)と福祉専門職員配置等加算(Ⅲ)との併給が可能とされました。
よくある質問
Q. 令和6年度の生活介護の報酬改定は、いつから適用されましたか?
A. 基本報酬の見直しや入浴支援加算などの新設加算は、原則として令和6年4月1日から施行されています。ただし、福祉・介護職員等処遇改善加算の一本化については令和6年6月からの施行となっており、加算区分によって開始時期が異なる点に注意が必要です。算定にあたっては、個別の加算要件と施行時期をあわせてご確認ください。
Q. 基本報酬が時間区分制になったことで、既存の利用者の請求方法はすぐに変わりますか?
A. サービス提供時間は、個別支援計画に定めた標準的な支援時間で算定することが基本とされており、医療的ケアが必要な方や盲ろう者など、障害特性等により利用時間が短時間にならざるを得ない方への配慮も設けられています。現在の個別支援計画の内容を確認し、必要に応じて記載の見直しを行うことをおすすめします。
Q. 入浴支援加算や栄養関連加算は、既存の人員体制のままでも算定できますか?
A. いずれも算定要件として、対象となる利用者の状態や、管理栄養士の配置・関係職種との連携体制など、一定の体制整備が求められます。算定を検討する場合は、各加算の要件を事業所の人員体制と照らし合わせたうえで準備を進めることが重要です。
最後に
本記事は、2024年(令和6年)時点の最新資料を基に作成しています。
今後、厚生労働省より通知や資料などが公開されますので、詳細につきましては、最新情報をご確認いただきますようにお願い致します。
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