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2018年にエス・エム・エスへ入社。「カイポケ」にて障害福祉分野(障害児通所支援、重度訪問介護、行動援護など)の請求機能を担当し、2度の報酬改定対応を経験。 かべなしクラウドの立ち上げ当初から開発に参画し、厚生労働省や自治体の報酬関連資料の精査と事業所への訪問ヒアリングを重ね、障害福祉開発チームで各サービス種別の請求機能開発を推進している。
日本各地の介護事業所開設や運営支援、ICTやロボットを活用した介護現場の生産性向上などに幅広く関わる。事業部門責任者、執行役員を歴任後、取締役副社長就任。 2019年エス・エム・エスに入社。介護事業者向け経営コンサルティングや商品企画に従事。厚生労働省調査研究などに関わり、介護事業者向けセミナー講師なども務める。
—まずはそれぞれの担当・役割を教えてください。
松野さん: 私はかべなしクラウドのプロダクトオーナーとして、機能の優先順位の決定や、ステークホルダーとの調整が主な役割です。「何を、いつ、なぜ作るか」を決める立場ですね。PRD(プロダクト要求仕様書)を書いて、それをもとにチームの議論を引っ張っていくのが仕事です。
加藤さん: 私は障害福祉開発チームに所属していて、かべなしクラウドの請求機能を中心に担当しているソフトウェアエンジニアです。 ソフトウェアエンジニアというと、設計や実装(プログラミング)というイメージが一般的かと思いますが、実際には他にも色々やっています。 松野さんやチームメンバーと共に、どのようなプロダクトを作るべきかを考えたり、ユーザーにとっての価値とは何かという本質的なことも考えたり。 一言で表すと「良いプロダクトを作るために、エンジニアスキルを使って必要なことは何でもすること」が仕事です。
優れた機能設計には、徹底した制度と現場の理解が必須
—請求機能の開発では、まず何から始めるのでしょうか?
加藤さん: 制度調査、現場ヒアリング、設計、エヌ・ゲート社との連携、という大きく4つのステップがあります。まずは請求に関連する制度とソフトを活用する現場への理解を深め、その上で機能を設計、その内容をエヌ・ゲート社とすり合わせながら開発を進めていきます。
—開発の中で難しかったのはどの工程ですか?
加藤さん:やはり制度理解と現場理解ですね。
制度理解の面では、正確に進めるために厚労省や子ども家庭庁が出している報酬に関する資料を端から端まで読み込みます。ただ、資料だけでは正解が分からないことも多く、完全にルールを把握するのが難しいのが実状です。
また、現場理解の面では、請求機能を含め、どのようにソフトが使われているか、他にどのような業務があるのかを理解しておかなければ、優れた機能を開発することはできません。そのため、事業所を訪問して実際の業務フローを自分の目で確認します。 今までに私は10箇所以上の事業所を訪問しています。

松野さん: 調査と現場理解が揃って初めて、チームで議論できる状態になります。「何を作るか」の意思決定が仕様書を作る段階で決まるので、手順の中でも最も時間をかけるフェーズです。
加藤さん: また、ソフト設計では日本語で書かれた制度の文章を、コンピューターが処理できるデータ構造に変換していきます。言葉で書かれた資料は曖昧な表現があることもありますが、コンピューターの世界では曖昧さは許されない。「こういう体制を整えて、こういう記録をつけて、利用者さんの状態がこうなって、初めて算定できる」という多段階の条件を判断・定義し、正確にシステムへ落とし込む必要があります。この工程でも、制度の正確な理解が求められますね。
—制度の解釈で判断が難しいとき、どうしていますか?
加藤さん: 厚生労働省の資料や、関連する通知や法令も横断的に検索し徹底的に読み込んでいます。その他、自治体が事業所向けに噛み砕いて作成した資料も参考にしますが、それでも分からない場合は、自治体や行政に直接問い合わせることもあります。
行政や自治体の関連しそうな部署に問い合わせるのですが、制度について教えてくれる専門の部署があるわけではないので、管轄外で担当者まで辿り着けないといったことも多いです。 最終的には業界に知見のあるドメインエキスパートや現場の方の意見をいただきつつ、資料の行間から背景を読んで「この制度の意図はこういうことだから、きっとこういう解釈になる」という形で、背景をもとにした予測を立てて実装することもあります。
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「最優先は品質」。メンバー間の意思統一と柔軟な設計が支えるかべなしクラウドの請求機能
—プロダクト開発において、最も大切にしていることは何ですか?
松野さん: まずは「品質を最優先にすること」です。
これは私の前職での経験もあるのですが、請求機能のミスや不具合は、事業所だけでなく利用者さんやそのご家族にも悪影響を及ぼしてしまい、事業所の信頼を揺るがしかねません。本来事業所の皆さんをサポートすべきものが、逆に負担になってしまう。
そうならないように、まずは品質を第一優先とし、「品質が担保できないならスケジュールを延ばす」という意思決定ができるよう、開発を始める前にエヌ・ゲート社も含めた全員でこの原則を明文化し、メンバー間で共通理解を作る機会を設け、エレベーターピッチなども作って全員で合意しました。

開発が進むと「なぜ納期に間に合わないのか」という話が出てくる場面もあります。その際にも「品質第一」に立ち戻って判断できるため、非常に重要な判断軸です。
加藤さん:私が設計で一番意識しているのは、「制度改正に耐えられる構造を作ること」です。
障害福祉は3年ごとに報酬改定があり、臨時改定も入る。そのため、「この部分を変えるだけで対応できる」という極力シンプルな設計になっているかどうかが、3年後に大きく響いてきます。
制度が変わるたびにゼロから作り直すようでは、品質もスピードも保てませんからね。
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—事業所を訪問した際、どう感じましたか?
加藤さん: 実際に事業所を訪問すると、モチベーションが上がるんです。
事業所の方にお話をうかがうと、「利用者さんやそのご家族のために」という志を持って動かれている方ばかりで。そういう方々が毎日使うシステムを作っているんだという実感が、事業所に行くたびに強くなります。
かべなしクラウドの使いやすさが、その方たちの1日のどこかを楽にできる。それを思うと、細かい設計の判断でも手が抜けないな、という気持ちになりますね。
松野さん: かべなしクラウドは、「日々の記録や業務をかべなしクラウドで積み重ねていくと、請求に必要なデータが自然と蓄積されていって、月末にはボタン一つで請求が完成する」、そういう世界を目指しています。
請求のために特別な何かをしなければならないのではなく、日々の業務をこなす中で請求業務が完了していくような状態にしたい。
その設計思想も、事業所でうかがったお話しの一つひとつを我々なりに紐解いて辿り着いたものです。
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「かべなしクラウド」を成長させることで、障害福祉業界全体にポジティブな影響を
—まだ請求機能が対応していないサービス種別の事業所様へメッセージをお願いします。
松野さん: すべてのサービス種別に対応していくことは、揺るぎない方向性です。開発スピードも着実に上がってきているので、順次対応していきます。今使っていただいている機能の中で「ここが使いにくい」「こうなると助かる」というフィードバックをどんどんいただけると嬉しいです。皆様の生きた声が、私たちの一番の原動力です。
—今後のビジョンを聞かせてください。
松野さん: まず請求機能がすべてのサービス種別に対応することがスタートラインです。そこから先は、記録機能との連携をさらに深めたり、AI活用も模索しながら、現場スタッフの方が事務負担ではなく、本質的な「支援」に集中できる時間を増やすことに貢献したい。
請求業務って、必要な業務ではあるけど福祉のコア業務ではない。だからこそ、スムーズで手間をかけずに正確にできることが重要だと思っています。
事業所の従業員さんの負担が下がって心に余裕が生まれると、利用者さんへの支援の質も上がる。そのいい循環を生み出すプロダクトにしていきたいと思っています。
加藤さん:ゆくゆくは、かべなしクラウドが障害福祉業界全体のデファクトスタンダードとなることで、お客様だけでなく、業界全体の品質底上げにも貢献できればと思っています。 それが私たちの最終的な目標ですね。
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