令和9(2027)年度の障害福祉サービス等報酬改定に向けて、令和8年10月22日に第66回障害福祉報酬改定検討チームが開かれました。この回では、施設入所支援、生活介護、短期入所、療養介護の報酬と基準について話し合われました。
厚生労働省が示した資料には、4サービス分で12の論点があります。生活介護の基本報酬の定員区分や医療的ケアが必要な方への支援体制など、日々の運営に関わりの深い見直し案も盛り込まれました。
本記事では、12の論点を一覧で確認したうえで、生活介護、施設入所支援、短期入所、療養介護の順に検討案を紹介していきます。
なお、ここで紹介する内容は、報酬改定に向けた議論の途中で示されたもので、報酬や基準として確定したものではありません。本記事の情報は、第66回の資料が示された令和8年10月22日時点のものです。
元資料は第66回障害福祉報酬改定検討チームの資料「施設入所支援、生活介護、短期入所、療養介護に係る報酬・基準について≪論点等≫」です。
また、その他の令和9年度報酬改定については以下の記事にまとめております。こちらもあわせてご覧ください。
今回の議論の主なポイントは?
12の論点の内訳は、生活介護が3つ、施設入所支援が6つ、療養介護が2つ、短期入所が1つです。強度行動障害の状態にある方などへの支援は今回の資料には含まれず、次回以降に議題となる予定とされました。
各サービスの要点を、論点ごとに整理しています。
施設入所支援
- 居室の個室・ユニット化を進めるため、居室の形態に応じた評価を設ける案が示されました。
- 敷地外の日中活動サービスを利用する場合に、施設が日中活動事業所と情報共有することなどを評価する加算が検討されています。
- 高齢の方への支援や看取りは、ケアの在り方などを整理したうえで、引き続き検討する方向です。
- 地域移行等意向確認未実施減算については、令和8年度からの義務化を踏まえ、強化する案が出ています。
- サテライト的な施設の創設は引き続き検討する課題とされ、グループホームの体験利用時に施設職員が行う支援を評価する案が挙がりました。
- 中山間・人口減少地域では、特定地域サービスの制度などを活用した基準緩和が検討されています。
生活介護
- 基本報酬の利用定員区分に91人以上の区分を設けるなど、事業規模に応じた評価を強化する案が示されました。
- 医療的ケアが必要な方の受け入れに向けて、常勤看護職員等配置加算の見直しが検討されています。
- 医療的ケアが必要な方などが欠席した場合の、欠席時対応加算の拡充も案に含まれています。
- 特別支援学校卒業後の夕方以降の居場所のニーズを踏まえ、延長支援加算の拡充と、日中一時支援との連携を評価する仕組みが挙げられました。
- 生活介護事業所での生涯学習の実施を努力義務とする案が出ています。
短期入所
- 医療型短期入所の供給体制を強化する観点から、評価について検討する案が示されました。
- 医療的ケアが必要な方が利用を取りやめた場合に、加算で評価することも検討されています。
- 介護老人保健施設や介護医療院で医療型短期入所を実施する際の、手続きのさらなる簡素化も挙げられています。
療養介護
- 日中活動の担当職員を配置し、利用者ごとのプログラムを作成した場合に評価する、新たな加算の案です。
- 中山間・人口減少地域に限って、定員の下限を緩和する案も示されました。
これらの案は、12月の基本的な考え方の整理を経て、令和9年2月の改定案へと絞り込まれていく見通しです。今後の日程は、本記事の後半でまとめています。
第66回検討チームで示された論点の全体像
資料は、サービスごとの4つの章に、医療的ケアに関する方向性を再掲した章を加えた5章立てです。
| 章 | 設定されている論点 | 資料p. |
|---|---|---|
| 1. 施設入所支援 | 論点1~6 | 2~37 |
| 2. 生活介護 | 論点1~3 | 38~77 |
| 3. 短期入所 | 論点1 | 78~102 |
| 4. 療養介護 | 論点1~2 | 103~117 |
| 5. 医療的ケア(再掲) | ー | 118~ |
※第66回資料p.1の目次をもとに作成しています。5章は、生活介護と短期入所の章で示された医療的ケアに関する検討の方向性を、改めてまとめたものです。
5章には、児童発達支援・放課後等デイサービス、居宅訪問型児童発達支援、障害児入所施設に関する内容も含まれています。障害児支援の論点については、障害児通所に関する論点の記事をご覧ください。
サービス別の論点一覧
各章で設定されている論点と、検討案の要旨を一覧にしました.
| サービス | 論点 | テーマ | 検討案の要旨 |
|---|---|---|---|
| 施設入所支援 | 論点1 | 居室の形態に応じた評価 | 個室・ユニット化に向けて、居室の形態の違いに応じた評価を設定する |
| 施設入所支援 | 論点2 | 日中活動の場と住まいの場の分離 | 敷地外の日中活動事業所を利用する際の情報共有などを評価する |
| 施設入所支援 | 論点3 | 高齢の方への対応、看取りや終末期への対応 | ケアの在り方や人員体制などを整理したうえで、引き続き検討する |
| 施設入所支援 | 論点4 | 地域移行等意向確認未実施減算 | 令和8年度からの義務化を踏まえ、減算の設定を強化する |
| 施設入所支援 | 論点5 | サテライト的な施設の創設 | 創設は引き続き検討し、グループホームの体験利用時の施設職員の支援を評価する |
| 施設入所支援 | 論点6 | 中山間・人口減少地域の基準 | 特定地域サービスの制度などを活用し、一定の基準緩和を行う |
| 生活介護 | 論点1 | 基本報酬の利用定員区分 | 91人以上の区分を設けるなど、事業規模に応じた評価を強化する |
| 生活介護 | 論点2 | 医療的ケアが必要な方への支援 | 常勤看護職員等配置加算を見直し、欠席時対応加算を拡充する |
| 生活介護 | 論点3 | 障害児施策からの円滑な移行 | 延長支援加算の拡充や日中一時支援との連携の評価、生涯学習の努力義務化を行う |
| 短期入所 | 論点1 | 医療的ケアが必要な方への支援 | 医療型短期入所の評価、利用取りやめ時の加算、老健などでの手続き簡素化を検討する |
| 療養介護 | 論点1 | 日中活動への評価 | 日中活動の担当職員を配置し、個別プログラムを作成した場合の加算を設ける |
| 療養介護 | 論点2 | 中山間・人口減少地域の定員基準 | 中山間・人口減少地域に限り、定員の下限を緩和する |
生活介護の検討案
資料によると、令和7年度の生活介護の費用額は約9,379億円で、障害福祉サービス等の総費用額の20.6%を占めています。費用額、利用者数、事業所数はいずれも毎年度増えている状況です。
【生活介護】基本報酬に91人以上の利用定員区分を設ける案(論点1)
現在の生活介護の基本報酬は、利用定員に応じて10の区分に分かれています。
| 区分 | 利用定員 |
|---|---|
| (1) | 5人以下 |
| (2) | 6人以上10人以下 |
| (3) | 11人以上20人以下 |
| (4) | 21人以上30人以下 |
| (5) | 31人以上40人以下 |
| (6) | 41人以上50人以下 |
| (7) | 51人以上60人以下 |
| (8) | 61人以上70人以下 |
| (9) | 71人以上80人以下 |
| (10) | 81人以上 |
※第66回資料p.45をもとに作成しています。
近年は、利用者の重度化や高齢化が進み、強度行動障害や医療的ケアなど個別のニーズへの対応が求められるようになりました。そのなかで、一人ひとりの意思や希望に応じた支援やより個別性の高い支援の重要性が指摘されています。
障害者支援施設の在り方を話し合ってきた検討会のまとめでも、意思決定支援の推進や個別的支援の充実、生活単位の小規模化などの必要性が示されました。
資料では、利用定員が大きくなるほど、意思決定支援や個別支援の確保が課題になると考えられています。また、現在の報酬では81人以上がひとつの区分にまとめられているため、事業所の規模が大きくなるにつれて変化する費用の構造を十分に反映できていません。
こうした背景から、91人以上を対象とした区分を新たに設けるなど、事業規模などに応じた評価を強める方向性が示されました。
【生活介護】常勤看護職員等配置加算の見直し案(論点2)
常勤看護職員等配置加算は、看護職員を常勤換算で1人以上配置している場合に算定できる加算です。利用定員に応じて32単位から6単位までの単位数が定められ、そこに常勤換算した看護職員の数を掛けて算定します。
医療の進歩を背景に、日常的に医療的ケアを必要とする方は年々増えています。一方で、受け入れる側の事業所にとっては、人材の確保や受け入れ体制の整備にかかる負担の大きさが課題として指摘されています。
とくに障害福祉分野では、看護職員の確保が難しいのが実情です。また、医療的ケアが必要な方の利用が少ない日でも一定の看護体制を保つ必要があることから、事業所の経営負担が大きいとの意見も出ています。
あわせて、医療的ケア児支援法の改正によって、令和9年4月1日から、支援の対象が18歳以上の方にも広げられます。
医療的ケアが必要な方の受け入れを進め、地域でのサービス提供体制を確保するには、必要な看護職員を確保することが欠かせません。そのための方策として、常勤看護職員等配置加算の見直しが検討されています。
【生活介護】医療的ケアが必要な方などの欠席時対応加算を拡充する案(論点2)
欠席時対応加算は、利用者が急病などで利用を中止した場合に、事業所が連絡調整や相談援助を行い、その内容を記録したときに算定できる加算です。現在は94単位で、月4回が限度とされています。施設入所者は対象外です。
医療的ケアが必要な方の場合、体調の変化や通院・入院によって予定していた日に利用できなくなることが少なくありません。休んだ日や利用を再開する際には、ケアの内容や体調の確認、家族・医療機関とのやりとりなどを、通常よりも丁寧に行う必要があります。事業所側にこうした追加の対応が生じているという声を受け、医療的ケアが必要な方などが欠席した場合の欠席時対応加算を手厚くする案が示されました。
【生活介護】延長支援加算の拡充と日中一時支援との連携を評価する案(論点3)
延長支援加算は、所要時間8時間以上9時間未満の支援の前後に日常生活上の世話を行い、通算した時間が9時間以上となった場合に算定できる加算です。現在の単位数は次のとおりで、施設入所者は対象外です。
| 通算した時間 | 単位数 |
|---|---|
| 9時間以上10時間未満 | 100単位 |
| 10時間以上11時間未満 | 200単位 |
| 11時間以上12時間未満 | 300単位 |
| 12時間以上 | 400単位 |
※第66回資料p.64をもとに作成しています。
学齢期には、日中を特別支援学校などで過ごし、放課後は放課後等デイサービスなどを利用することで、夕方まで見守りを受けながら余暇や学習、社会参加の機会を得られる環境があります。
一方で、卒業して生活介護に移ると、サービスを受けられる時間帯や活動の内容が学齢期とは変わります。働きながら本人を支えている家族などにとっては、夕方以降の居場所や預け先の確保が課題として示されました。
特別支援学校を卒業したあとも夕方まで過ごせる場を確保するため、延長支援加算の評価の拡充が検討されています。その際、強度行動障害の状態にある方や医療的ケアが必要な方など、重度の方の場合の評価を拡充することもあわせて検討する方向です。
また、生活介護と日中一時支援事業所などを利用する場合に、連携して支援を行うことへの新たな評価を設ける案も示されています。切れ目のない支援体制を整えることがねらいです。
なお、日中一時支援は障害福祉サービスではなく、地域生活支援事業のひとつです。
【生活介護】生涯学習の実施を努力義務とする案(論点3)
特別支援学校に通っている間は、教育課程の一環として日中活動の機会があります。しかし、卒業して生活介護などの障害福祉サービスへ移ると、学校で得られていた人との交流も含め、生涯にわたって学ぶ機会を十分に得られなくなることが指摘されています。
卒業後も学びや交流の機会を保ち、学齢期から成人期への円滑な移行を支える観点から、生活介護事業所での生涯学習の実施を努力義務として位置づける案が示されました。
これは報酬ではなく、基準のうえでの位置づけに関する案です。努力義務として求められる内容は、まだ示されていません。
施設入所支援の検討案
資料によると、令和7年度の施設入所支援の費用額は約2,542億円で、総費用額の5.6%を占めています。費用額は増えていますが、利用者数と事業所数は減少傾向です。令和8年4月の国保連実績では、事業所数が2,529、利用者数が120,127人となっています。
施設入所支援の論点の多くは、令和7年9月24日に示された、障害者支援施設の在り方に係る検討会のこれまでの議論のまとめがもとになっています。
【施設入所支援】居室の形態(個室・ユニット化)に応じた評価を設ける案(論点1)
検討会のまとめでは、個室化やユニット化によって生活単位の小規模化を進め、地域の生活環境に近づけていく必要性が示されました。施設であっても、自分の部屋はプライバシーが確保された個室が望ましいという考え方です。
令和9年度からの第8期障害福祉計画の基本指針でも、居室は個室を基本とし、生活環境の向上に向けた取り組みを進めるとされています。
一方、令和6年度の調査では、多床室がある事業者のうち6割以上が、今後の個室化の予定はないと回答しました。現行の施設入所支援の報酬では、居室の形態に応じた評価は行われていません。
個室・ユニットにすると、入所者それぞれの状態に合わせた細やかな支援がしやすくなり、支援の質を高めることにつながります。その反面、多床室に比べると、居室ごとの管理や支援にかかる職員の業務は増えることになります。この点を考慮し、まずは個室か多床室かといった居室の形態によって、報酬上の評価に差を設ける案が示されました。
【施設入所支援】敷地外の日中活動サービスを利用する際の情報共有を評価する案(論点2)
令和6年度の調査では、施設入所支援を利用している方の日中活動の場所について、次のような結果が出ています。
- 施設が実施している日中活動サービスを、居住する建物内で利用している方が80.3%で最も多くなっています。
- 居住する建物の外ではあるものの、同じ敷地内で利用している方は14.1%でした。
「障害者の地域生活支援も踏まえた障害者支援施設の在り方に係る検討会」のこれまでの議論のまとめでは、地域移行を進めるために、日中活動を敷地外で行うことや、日中活動の場と住まいの場の分離、いわゆる昼夜分離を進める必要性が指摘されました。
昼夜分離を後押しするため、入所者の意思決定支援を十分に行うことを前提に、事業者側の対応が必要な場合には、敷地外の日中活動サービス事業所に通うケースを加算で評価することが検討されています。
具体的には、入所者が通う日中活動サービス事業所で適切な支援が行われるよう、施設がその方の障がい特性や状態像などを情報共有することなどを評価する方向です。
【施設入所支援】高齢の方への支援や看取りは引き続き検討する方向(論点3)
障害者支援施設でも利用者の高齢化が進み、加齢に伴う変化などにより、それまでとは異なる支援ニーズが生じる場合があります。介護ケアや看取り・終末期への対応がより求められているとの指摘もあります。
参考として、資料には介護報酬の仕組みも掲載されました。介護老人福祉施設では、平成18年度から看取り介護加算が設けられ、その後ほかの居住系サービスにも同様の加算が広がりました。
障害者支援施設での看取りなどは、医行為の一環として診療報酬の対象です。令和6年度の診療報酬改定では、入所者が末期の悪性腫瘍である場合に、訪問診療で在宅患者訪問診療料を算定できる取り扱いになりました。
この論点は、障害者支援施設に加えて共同生活援助なども含めた、高齢の方への介護の在り方をテーマとしています。
検討の方向性としては、本人と家族の意向を尊重し、職員のグリーフケアやメンタルケアにも十分に留意することが挙げられました。そのうえで、まずは高齢の方へのケアの在り方やそれに応じた職員のスキル、人員体制などを整理するとされています。
看取りまで含めてどのようなサービスを提供し、どう評価するかは、今後も検討を続けていく方向です。今回の資料では、具体的な加算の案は示されていません。
【施設入所支援】地域移行等意向確認未実施減算を強化する案(論点4)
令和6年度の報酬改定では、地域移行を進めるための取り組みとして、次の2点が施設入所支援の運営基準に定められました。
- 地域移行等意向確認担当者を選任することです。
- 地域移行等意向確認等に関する指針を策定することです。
これらは令和8年度から義務化され、対応していない場合は1日につき5単位が減算されます。令和8年5月分では、2,528事業所のうち9事業所でこの減算が算定されており、算定率は0.4%でした。
本人の意思にもとづく地域移行を進めるためには、各施設での指針の作成と意向確認が重要であり、一層の取り組みが必要です。
そこで、令和8年度から義務化されたことも踏まえ、減算の設定を強化する案が示されました。強化後の減算の幅は、まだ示されていません。
【施設入所支援】サテライト的な施設は引き続き検討、グループホームの体験利用時の支援を評価する案(論点5)
「障害者の地域生活支援も踏まえた障害者支援施設の在り方に係る検討会」のまとめでは、地域移行と定員削減を少しずつ進めていく手立てのひとつとして、本体施設の定員を縮小しながら運営するサテライト的な施設についても、その必要性を検討するよう求められました。
過去には、平成17〜19年度に構造改革特区の枠組みで、一部の自治体でサテライト型障害者入所施設の特例措置がとられています。ただ、活用事例は少数にとどまり、全国展開には至りませんでした。
第8期障害福祉計画の基本指針では施設入所者数の削減を成果目標に掲げており、サテライト的な施設を設ける場合も、本体施設の定員を減らすことが前提になります。また、グループホームや自立訓練などとの役割分担が必要なことや、新たに設置する際の整備費用といった課題も挙げられました。
こうした点から、サテライト施設の定義や運用面でのメリット・デメリット、類似サービスとの役割の違いなどの整理をまず進め、創設については引き続き検討する課題とする方向です。
一方で、地域移行に向けた動機づけを促すための評価の案も出ています。入所者がグループホームを体験的に利用する際に、施設の職員がグループホーム事業者と連絡調整を行い、定期的に訪問して状況把握や相談援助を行った場合を評価する案です。
なお、地域生活支援拠点等に位置づけられている施設については、すでに一定の評価の仕組みがあります。施設の職員が地域移行支援事業者と調整を行い、入所者が一人暮らしを想定した体験的な宿泊などを利用した場合に評価されるものです。
【施設入所支援】中山間・人口減少地域で基準を緩和する案(論点6)
令和7年12月23日に閣議決定された地方からの提案等に関する対応方針で、障害者支援施設などの基準を中山間地域などでどのように適用するか、検討することとされました。
具体的には、次のような課題が指摘されています。中山間・人口減少地域では、利用者の減少により、介護と障害福祉それぞれで施設を維持することが難しくなっています。そこで既存の介護老人福祉施設の空きスペースを使って障害者支援施設を併設しようとしても、1人あたりの床面積の基準が異なるため、そのまま活用できないというものです。
また、社会福祉法等の改正法により、地域の実情に応じた配置基準などを導入できる特定地域サービスという類型が新たに設けられました。
今回は、この特定地域サービスの制度などを活用し、中山間・人口減少地域で一定の基準緩和を行う方向が示されています。緩和の対象となる基準や程度は、まだ示されていません。
短期入所の検討案
資料によると、令和7年度の短期入所の費用額は約638億円で、総費用額の1.4%を占めています。費用額、利用者数、事業所数は、いずれも令和2年度に減少したあと、令和3年度から増えている状況です。
短期入所の論点は医療的ケアが必要な方への支援の1つですが、そのなかで3つの方向性が示されました。
【短期入所】医療型短期入所の評価を検討する案(論点1)
短期入所は、医療的ケアが必要な方が地域で暮らし続けるために、家族のレスパイトや緊急時の受け入れなどの役割を担っています。事業所数や利用者数は増加傾向にあるものの、医療的ケアが必要な方を受け入れる事業所については、さらなる拡充が求められている状況です。
なかでも医療型短期入所は主に病院が実施していますが、レスパイトなどを目的とする障害福祉の報酬は、治療を目的とする診療報酬より評価が低いため、受け入れを増やしにくいという指摘があります。
また、看護職員の確保が難しく、利用者がいない日でも一定の看護体制を維持しなければならず、経営上の負担が大きいという声も寄せられました。
医療型短期入所を提供できる体制を地域で広げていくことは、医療的ケアが必要な方の暮らしを支えるうえで重要です。そのため、医療型短期入所の報酬上の評価について検討する方向が示されました。
【短期入所】利用を取りやめた場合の加算を検討する案(論点1)
医療的ケアが必要な方は、体調不良などで短期入所の利用を取りやめることがあります。その場合でも、事業所では受け入れ体制のための経費が生じています。
そこで、ほかの通所サービスと同じように、欠席時の対応を加算で評価する案が挙がりました。
資料には、医療型短期入所での当日キャンセルの状況に関するデータも掲載されています。この案が医療型短期入所だけを対象とするのか、福祉型も含むのかは、今回の資料では明らかになっていません。
【短期入所】介護老人保健施設・介護医療院での実施に係る手続きの簡素化(論点1)
医療型短期入所は、介護老人保健施設や介護医療院でも実施できます。令和6年度の報酬改定では、介護老人保健施設などが実施する場合の指定申請書類が簡素化されました。
令和6年12月24日に閣議決定された地方からの提案等に関する対応方針でも、介護老人保健施設が実施する場合の指定の在り方が検討課題とされています。
令和6年度の簡素化に続いて、介護老人保健施設や介護医療院で実施する事業所を増やすため、手続きを一層簡素化するなどの方策を検討する方向です。
療養介護の検討案
資料によると、令和7年度の療養介護の費用額は約717億円で、総費用額の1.6%を占めています。費用額は増加傾向にある一方、利用者数と事業所数は直近では変化がない状況です。
【療養介護】日中活動の個別プログラムを評価する加算を設ける案(論点1)
療養介護は、医療と常時の介護が必要な方に対し、医療機関などで日常生活上の支援を行うサービスとして位置づけられています。重症心身障害のある方や医療的ケアが必要な方の利用が多く、利用者の高齢化や障がいの重度化も年々進んでいます。
このような利用者の暮らしを支えるには、医療の提供や健康管理に加え、生活の質の維持・向上を図る観点も重要です。療養介護を利用する方についても、本人の意思や希望に合った日中の活動や、地域とつながる機会を確保することが大切だという指摘があります。
令和7年度の調査研究では、各事業所が利用者の障がい特性や病状に合わせた個別の日中活動に取り組んでいる一方、職員体制の制約から、活動の回数や内容には限りがある状況が明らかになりました。これに対し、日中活動の企画や運営を専任で担う職員を置いている事業所では、利用者の意思や希望を反映した活動を提供できている傾向がみられます。
この結果を受け、日中活動の企画・実施を担う職員を配置し、利用者ごとに日中活動のプログラムを作成している場合に評価する加算を、新たに設ける案が示されています。
【療養介護】中山間・人口減少地域に限り定員の下限を緩和する案(論点2)
療養介護の事業所は、全国的に数が限られているのが現状です。とくに人口規模の小さい地域や過疎地域、中山間地域などでは、利用を希望していても身近な地域に事業所がない場合があります。
利用者が少ない地域では、現行の定員要件である20人を満たす事業所を整備することが難しいという意見があります。その一方で、定員の下限を全国一律で引き下げると、療養介護に求められる専門性や支援の質が保てなくなるおそれがあるとして、慎重に検討すべきだという意見も出ました。
なお、社会福祉法では、社会福祉事業の定員の下限は20人で、政令で定めるものについては10人以上です。
全国一律ではなく、中山間・人口減少地域に限って、療養介護の定員の下限を緩和することを検討してはどうかという案が示されました。緩和後の定員の下限が何人になるかは、まだ示されていません。
令和9年度障害福祉サービス等報酬改定の今後のスケジュールと検討の流れ
今後のスケジュール(予定)
令和8年6月5日の社会保障審議会障害者部会で報告された資料では、次のような流れが示されています(令和9年度障害福祉サービス等報酬改定について(報告))。
| 時期 | 予定されている内容 |
|---|---|
| 令和8年9月~10月 | 各サービスの報酬等の在り方について検討 |
| 令和8年11月 | サービス横断的な報酬等の在り方について検討 |
| 令和8年12月 | 報酬・基準に関する基本的な考え方の整理・取りまとめ |
| 令和9年2月 | 障害福祉サービス等報酬改定案のとりまとめ |
改定後の報酬は令和9年度から適用される予定です。具体的な施行日は、今後示される告示などで確認する必要があります。
報酬改定検討チームでのこれまでの議論
| 開催 | 主な内容 |
|---|---|
| 第55回(令和8年4月28日) | 令和9年度報酬改定に向けた検討の進め方(資料) |
| 令和8年6月~8月 | 関係団体ヒアリング |
| 第62回(令和8年8月27日) | 令和9年度報酬改定に向けた主な論点(案)(資料) |
| 第63回(令和8年9月24日) | 訪問系サービス(資料) |
| 第64回(令和8年9月28日) | 就労系サービス(資料) |
| 第65回(令和8年10月5日) | 障害児支援(資料) |
| 第66回(令和8年10月22日) | 施設入所支援、生活介護、短期入所、療養介護(資料) |
強度行動障害の状態にある方などへの支援については、次回以降の検討チームで議題となる予定です。
令和8年度の臨時応急的な見直しとの関係
障害福祉サービス等の報酬改定は、原則として3年に1度行われます。前回の改定は令和6年度でした。
令和8年度には、処遇改善加算の拡充などを内容とする臨時応急的な見直しが行われています(厚生労働省 令和8年度障害福祉サービス等報酬改定について)。令和9年度の改定は、こうした見直しを踏まえて行われる3年に1度の改定です。見直し全体の内容は、令和8年度障害福祉サービス等報酬改定(臨時応急的な見直し)の解説記事でまとめています。
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まとめ
第66回障害福祉報酬改定検討チームでは、施設入所支援、生活介護、短期入所、療養介護の報酬と基準について、合わせて12の論点が示されました。
生活介護では、事業規模に応じた評価や医療的ケアが必要な方への支援、特別支援学校卒業後の移行を支える案が出ています。施設入所支援では個室化や昼夜分離、地域移行に向けた評価が、短期入所と療養介護では医療的ケアや日中活動、中山間地域での基盤確保が検討されました。
いずれも検討段階の案であり、12月の基本的な考え方の整理や、令和9年2月の改定案のとりまとめに向けて具体化していく見込みです。本人の意思や希望を尊重した支援や、地域での暮らしを支える体制づくりという見直しの方向性を踏まえて、今後の動きを確認していきましょう。
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