令和9年度の障害福祉報酬改定に向け、厚生労働省とこども家庭庁は、検討の土台となる論点整理を進めています。
令和8年8月27日に開催された障害福祉報酬改定検討チーム 第62回の資料では、改定に向けた主な論点案が示されました。
この記事では、この一次資料をもとに、改定が検討されている背景、四つの柱として整理されている論点、これまでの検討の経緯、そして今後のスケジュールの見通しをお伝えします。
なお、内容は令和8年9月時点の情報にもとづいており、今後の議論によって内容が変わる可能性がある点にご留意ください。
令和9年度障害福祉報酬改定とは
障害福祉報酬改定は、障害福祉サービスの対価となる報酬の単価や算定の仕組みを見直す制度改定で、原則として3年に一度実施されます。
令和9年度はその改定の年にあたり、障害福祉報酬改定検討チーム 第62回の資料では、改定に向けた主な論点案が公表されました。
障害者総合支援法の前身である障害者自立支援法の施行からは20年が経過し、障害福祉サービスを利用する方は約170万人、国の予算額は約2兆3千億円にのぼり、施行当初のおよそ4.5倍まで広がっています。
一方で、令和6年度の報酬改定以降は総費用額の伸びが大きくなっており、必要な人材を確保しながら質の高い支援を安定して提供し続けられる体制をどう保つかが、制度全体の課題として意識されるようになっています。
なお、令和8年度の臨時報酬改定についての詳細はこちらの記事もあわせてご確認ください。
令和9年度改定に向けた4つの検討の柱
第62回の検討チームでは「メリハリのきいた報酬体系」の実現を目指し、令和9年度改定に向けて次の4つの論点が整理されています。
①持続可能なサービス提供体制の確保
一つ目の柱は、持続可能なサービス提供体制の確保です。 物価の変動や賃金の上昇、人材確保の必要性、事業所の経営状況を踏まえながら、他の職種と遜色のない処遇改善を実現する方向性が示されています。 あわせて、介護テクノロジーの活用など、利用者一人ひとりに向き合う時間を大切にするための生産性向上の取り組みも論点に挙げられています。
②希望する地域等での生活の支援や多様なニーズへの対応
二つ目の柱は、利用者が希望する地域での生活を続けられるよう支援の幅を広げることと、多様なニーズに応えることです。
地域への移行や地域生活支援拠点の整備、相談支援の質の向上、意思決定支援の推進、精神障害のある方への地域包括的なケア体制づくりなどが挙げられています。
強度行動障害の状態にある方や医療的ケアが必要な方など、一人ひとりの状態に応じた支援体制の充実、障害児支援から大人になってからの支援への切れ目のないつながりも論点に含まれています。
③サービスの質の確保・向上と制度の持続可能性の確保
三つ目の柱は、サービスの質を確保し高めながら、制度そのものを長く持続させることです。
制度の趣旨に沿わない形で加算が算定されている例も見られることから、就労継続支援事業所の新規指定や共同生活援助の運営に関する各種ガイドラインの徹底、虐待防止の取り組みや情報公表、業務継続計画の整備、カスタマーハラスメントへの対応、従事者の研修などが論点として挙げられています。
移動にかかる時間や事業所の規模といった実態に応じた報酬のあり方、就労を希望する方への支援の充実についても検討が進められています。
④地域差や人口減少への対応等
四つ目の柱は、地域による差や人口減少への対応です。
令和6年8月の人事院勧告を踏まえた地域区分の見直しや、国庫負担基準のあり方、中山間地域や人口が減少する地域でもサービスを維持し続けるための方策が検討事項として挙げられています。
今後のスケジュールの見通し
社会保障審議会障害者部会 第156回の資料によると、令和9年度改定に向けては、おおむね次のような順序で検討が進められる見通しが示されています。
※検討スケジュールはあくまで仮の予定です。変更される可能性があります。
まずは検討事項の整理等のため、関係団体からのヒアリングが実施されました。 続いて9月から10月にサービスごとの報酬について検討が行われ、11月にはサービスを横断した検討、12月には基本的な考え方の整理が予定されています。
そして令和9年2月ごろに、改定案が取りまとめられる見通しです。
具体的な報酬の単位数や算定要件、告示や施行の時期については、まだ公表されていません。 今後公表される一次情報を確認しながら、最新の状況を把握していただければと思います。
記録・データ管理の観点から見えてくること
制度が見直される時期は、日々の記録や加算要件の管理をあらためて見直すいいタイミングでもあります。
処遇改善の要件確認や加算の算定状況、虐待防止や業務継続計画にかかわる記録をクラウド上でまとめて管理できる仕組みを整えておくと、今後の制度変更にも落ち着いて対応しやすくなります。
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まとめ
令和9年度障害福祉報酬改定は、持続可能なサービス提供体制の確保、希望する地域等での生活の支援や多様なニーズへの対応、サービスの質の確保・向上と制度の持続可能性の確保、地域差や人口減少への対応という四つの柱を中心に検討が進められています。
令和6年度の改定から令和8年度の臨時的な改定を経て、段階を踏んで検討が積み重ねられてきたことも、ここまで見てきたとおりです。
改定の具体的な内容が固まるのはこれからですが、事業所としては日々の運営や記録の見直しを少しずつ進めておくことで、制度が変わる時期も落ち着いて迎えられます。
今後も一次情報をもとに、最新の状況をお伝えしていきます。
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