令和9(2027)年度の障害福祉報酬改定に向けて、障害児支援の報酬と基準をどのように見直すかが、令和8年10月5日の第65回障害福祉報酬改定検討チームで議論されました。
厚生労働省とこども家庭庁が示した資料には、24の論点が盛り込まれています。そのうち半数の12は児童発達支援・放課後等デイサービスに関するもので、児童指導員等加配加算と専門的支援体制加算を統合する案など、日々の支援体制に関わる内容も含まれました。
この記事では、24の論点を表で一覧にしたうえで、児童発達支援・放課後等デイサービスを中心に、サービスごとの検討案を紹介します。
ここで取り上げる内容は、いずれも検討段階の案です。報酬や基準として決まったものではない点にご注意ください。記事の内容は令和8年10月5日時点の資料にもとづいています。
元資料は第65回障害福祉報酬改定検討チームの資料「障害児支援に係る報酬・基準について≪論点等≫」です。
また、現在検討されている令和9年度報酬改定全体の論点についてはこちらの記事、就労系サービスの論点についてはこちらの記事でまとめています。
今回の議論の主なポイントは?
- 論点は5つの章に分かれており、障害児支援全般が3つ、児童発達支援・放課後等デイサービスが12、居宅訪問型児童発達支援が1つ、保育所等訪問支援が2つ、障害児入所施設が6つの計24です。
- 障害児支援全般では、障害児支援に従事する職員の基礎・実践研修を運営基準に位置づける案や、個別支援計画をチームで作成するプロセスを明確にする案が示されました。
- 児童発達支援・放課後等デイサービスでは、児童指導員等加配加算と専門的支援体制加算を整理・統合し、事業所全体の支援体制を総合的に評価する新たな加算を創設する案が出ています。
- 医療的ケア児や重症心身障害児の受入れに向けて、事業所間の連携を評価する案や、外部の看護職員を活用する医療連携体制加算の評価を充実させる案も検討されています。
- 関係機関連携加算は、保育所や放課後児童クラブなどへの訪問、地域の居場所との連携、高校卒業後の障害福祉サービス等への移行支援まで、評価の対象を広げる方向です。
- 保育所等訪問支援では、訪問支援員に一定の実務経験を求め、経過措置を設ける案が挙がりました。
- 今後は12月に報酬・基準の基本的な考え方が整理され、令和9年2月に改定案がとりまとめられる予定です。くわしい流れは後半のスケジュールの章で紹介します。
第65回検討チームで示された論点の全体像
今回の資料では、5つの章に計24の論点が設定されています。
| 章 | 設定されている論点 | 資料p. |
|---|---|---|
| 1. 障害児支援全般 | 論点1~3 | 2~22 |
| 2. 児童発達支援・放課後等デイサービス | 論点1~12 | 23~110 |
| 3. 居宅訪問型児童発達支援 | 論点1 | 111~118 |
| 4. 保育所等訪問支援 | 論点1~2 | 119~133 |
| 5. 障害児入所施設 | 論点1~6 | 134~ |
※第65回資料p.1の目次をもとに作成しています。児童発達支援センターに関する論点は、児童発達支援・放課後等デイサービスの章に含まれています。
障害児支援全般・児童発達支援・放課後等デイサービスの論点
障害児支援全般の論点は、障害児通所支援、障害児入所支援、障害児相談支援に共通する内容です。児童発達支援・放課後等デイサービスの12の論点は、資料の小見出しにそって分類しています。
| 区分 | 論点 | テーマ | 検討案の要旨 | 解説 |
|---|---|---|---|---|
| 障害児支援全般 | 論点1 | 研修体系の創設と制度化 | 基礎・実践研修の実施を運営基準で事業者に求め、常勤職員の受講を求める | 障害児支援全般 |
| 障害児支援全般 | 論点2 | 個別支援計画のチーム協働 | 作成責任は児童発達支援管理責任者が担ったうえで、原案作成の一部を一般職員も担えることを明確にする | 障害児支援全般 |
| 障害児支援全般 | 論点3 | 強度行動障害の状態にあるこどもへの支援 | 就学児サポート調査票と強度行動障害判定基準表を整理・統合した基準をつくる | 障害児支援全般 |
| 質の高い発達支援の提供 | 論点1 | 事業所全体の支援体制の評価 | 児童指導員等加配加算と専門的支援体制加算を整理・統合した新たな加算を創設する | 児発・放デイ |
| 支援ニーズの高い児への支援 | 論点2 | 医療的ケア児・重症心身障害児の受入れ促進 | 事業所間の知識・ノウハウの共有を評価し、医療連携体制加算の評価を充実させる | 児発・放デイ |
| 支援ニーズの高い児への支援 | 論点3 | 医療的ケア児・重症心身障害児の安全な受入れ体制 | 多職種連携や医療安全管理、緊急時の対応などの体制を評価する | 児発・放デイ |
| 支援ニーズの高い児への支援 | 論点4 | 高次脳機能障害のあるこどもへの支援 | 障害福祉サービスでの評価も参考に、支援を評価する | 児発・放デイ |
| 児童発達支援センターの機能強化 | 論点5 | 中核機能強化加算の見直し | 地域支援や関係機関との連携をより明確に評価する仕組みにする | 児童発達支援センター |
| 児童発達支援センターの機能強化 | 論点6 | 外部搬入による食事提供 | 令和9年4月の全国展開に向けて、要件や基準の取扱いを示す | 児童発達支援センター |
| インクルージョンの推進 | 論点7 | 学齢期のインクルージョン | 放課後等デイサービスと放課後児童クラブ等の連携・交流や一体的な運用を検討する | 児発・放デイ |
| インクルージョンの推進 | 論点8 | 地域支援機能の強化 | 関係機関連携加算で、保育所等を訪問して行う支援方法の共有などを評価する | 児発・放デイ |
| インクルージョンの推進 | 論点9 | 地域の活動・居場所との連携 | 関係機関連携加算で、地域の多様な活動や居場所との連携も評価する | 児発・放デイ |
| 家族支援の充実 | 論点10 | 家族支援のさらなる充実 | 緊急的・突発的な相談への対応を新たに評価する | 児発・放デイ |
| その他 | 論点11 | 高校卒業後の接続・移行支援 | 関係機関連携加算の対象を障害福祉サービス等への移行まで広げる | 児発・放デイ |
| その他 | 論点12 | 職員の休暇に伴う人員配置 | 法定休暇を取得する際の人員基準上の取扱いを見直す | 児発・放デイ |
※第65回資料p.2・23をもとに、検討案の要旨を編集部でまとめています。
居宅訪問型児童発達支援・保育所等訪問支援・障害児入所施設の論点
| サービス | 論点 | テーマ | 検討案の要旨 | 解説 |
|---|---|---|---|---|
| 居宅訪問型児童発達支援 | 論点1 | 医療的ケア児等への切れ目ない支援 | 通所施設移行支援加算の算定上限回数を見直す | 訪問によるサービス |
| 保育所等訪問支援 | 論点1 | 訪問支援員の基準の見直し | 現行の資格要件に加え、一定の実務経験を求める | 訪問によるサービス |
| 保育所等訪問支援 | 論点2 | 併設施設への訪問の評価 | 併設された保育所等と児童発達支援事業所を併行利用するこどもへの訪問は、算定対象外とするなど評価を整理する | 訪問によるサービス |
| 障害児入所施設 | 論点1 | こどもの状態像に応じた支援体制 | 福祉型の施設類型を一本化し、専門性のある職員の配置を新たに評価する | 障害児入所施設 |
| 障害児入所施設 | 論点2 | 重症心身障害児への発達支援 | 保育士と児童指導員の人員基準を充実させる | 障害児入所施設 |
| 障害児入所施設 | 論点3 | 家庭的な養育環境 | 小規模グループケアやサテライト型での支援体制を評価・充実させる | 障害児入所施設 |
| 障害児入所施設 | 論点4 | 支援ニーズの高いこどもへの支援 | 個別対応や医療的ケア児の受入れ、高次脳機能障害、視覚・聴覚障害などへの支援を評価する | 障害児入所施設 |
| 障害児入所施設 | 論点5 | 家族支援 | 家族支援を専門的に担う職員の配置を評価する | 障害児入所施設 |
| 障害児入所施設 | 論点6 | 関係機関との連携・地域支援 | ソーシャルワーカーの位置づけと移行支援関係機関連携加算を見直す | 障害児入所施設 |
※第65回資料p.111・119・134をもとに、検討案の要旨を編集部でまとめています。
ここからは、章ごとに検討案を見ていきましょう。
障害児支援全般に関わる検討案
障害児支援全般の3つの論点は、児童発達支援や放課後等デイサービスに限らず、障害児支援にかかわるサービスに広く関係します。
【全般】研修体系を運営基準に位置づける案
令和5年12月に閣議決定されたこども未来戦略では、全国どこでも質の高い障害児支援を提供するため、研修体系の構築と支援人材の育成を進める方針が示されました。
これを受けて、障害児支援における人材育成に関する検討会が令和7年8月に報告書をとりまとめています。報告書では、基礎・実践研修、リーダー研修、コア人材研修の3階層による人材育成体系を構築することが適当とされました。
研修は段階的に導入され、令和9年度に基礎・実践研修、令和10年度にリーダー研修、令和11年度にコア人材研修を始める予定と資料p.3に記載されています。
論点1では、次のような案が示されています。
- 運営基準で、事業者に研修を実施するための措置を求める案です。受講の対象は、障害児通所支援、障害児入所支援、障害児相談支援に従事する方とすることが検討されています。
- 基礎・実践研修は、導入時には配置されているすべての常勤職員に、その後は新たに従事する常勤職員に受講を求める方向です。非常勤職員については、必須の受講科目を設けるなど、常勤職員とは異なる枠組みが検討されています。
- リーダー研修とコア人材研修は、都道府県と指定都市による実施を念頭に、事業所や地域で中核的な役割を担う方が任意で受講する研修とする案が出ました。
- 外部研修の受講で一時的に人員配置に影響が出る場合は、必要な直接支援体制が確保されることを前提に、人員基準を柔軟に取り扱うことも検討されています。
基礎・実践研修は、基本理念や権利擁護、本人支援、家族支援、地域連携などを学ぶ基礎的な研修です。日々の支援やOJTと一体的に行い、おおむね3年程度の期間のなかで受講することが想定されています。
【全般】個別支援計画をチームで作成するプロセスを明確にする案
現在の個別支援計画の作成プロセスは、個別支援会議などでほかの職員が関わる場面はあるものの、児童発達支援管理責任者が中心となって作成を進めることが前提です。
令和7年度の調査研究では、計画の作成でほかの職員と協働していると答えた児童発達支援管理責任者は80.8%でした。協働している場合には、丁寧な計画作成や業務時間の確保、支援の実現度、人材育成などで良好な傾向が確認されています。
そこで論点2では、児童発達支援管理責任者を中心に、チームで協働して計画を作成するプロセスを明確にする案が示されました。あわせて、次の2点を明確にすることが検討されています。
- 個別支援計画の作成責任は引き続き児童発達支援管理責任者が担い、作成プロセス全体の管理と計画内容の確認に責任を持つことを明確にする方向です。
- アセスメントに役立つ情報の整理や、支援目標・具体的な支援内容の提案など、原案作成の一部については、一般職員も担うことができるとする案です。
【全般】強度行動障害の状態にあるこどもへの段階的な支援の案
現在、強度行動障害の状態にあるこどもへの支援は、主に行動上の課題がある就学児への支援を評価する個別サポート加算と、強度行動障害児支援加算の2つの枠組みで評価されています。
令和7年12月時点の国保連データでは、放課後等デイサービスの強度行動障害児支援加算の算定率は、加算(Ⅰ)が12.9%、加算(Ⅱ)が3.8%でした。
資料では、2つの加算で取得にかかわる基準が分かれていることや、聴き取りのタイミングや方法といった運用状況が自治体ごとに異なることが課題として挙げられています。
論点3では、こどもの状態像に応じて段階的に支援する観点から、就学児サポート調査票と強度行動障害判定基準表を整理・統合した基準をつくり、一体的な運用方法を明確にする案が示されました。
児童発達支援・放課後等デイサービスの検討案
児童発達支援と放課後等デイサービスの章には12の論点があり、今回の資料のなかで最も多くの論点が設定されています。このうち児童発達支援センターに関する論点5と論点6は、次の章でまとめて紹介します。
【児発・放デイ】児童指導員等加配加算と専門的支援体制加算を統合する案
現在、常時見守りが必要なこどもへの支援などは児童指導員等加配加算で、理学療法士などによる専門的な支援は専門的支援体制加算で評価される仕組みです。
令和6年度の報酬改定では、児童指導員等加配加算が配置形態や経験年数に応じた評価に見直されました。専門的支援体制加算も、専門的な支援を提供する体制と、専門人材による個別・集中的な支援の実施を段階的に評価する仕組みになっています。
資料p.30によると、令和8年3月の国保連実績では、児童指導員等加配加算を算定している事業所は児童発達支援で約8割、放課後等デイサービスで約9割です。専門的支援体制加算は、どちらのサービスでも約5割の事業所が算定しています。
見直しの背景として、資料では主に次の点が挙げられました。
- 令和8年度の予算執行調査で、約9割の事業所が算定している実態をふまえ、児童指導員等加配加算が支援強化のインセンティブとしての役割を果たしているとは言えないとされ、要件の見直しなどを検討すべきと指摘されています。
- 個々の職員の資格や配置だけを評価する仕組みのため、配置転換などでも算定できる一方、事業所全体の支援体制を十分に評価できていないとされました。
- 関係団体からも、資格や職種だけでなく、経験の蓄積やチームアプローチなどの観点から事業所全体の支援体制を評価すべきとの意見が出ています。
※予算執行調査は財務省の調査であり、本記事では第65回資料p.30に掲載された範囲で紹介しています。
そこで論点1では、現行の評価体系を抜本的に見直し、両加算を整理・統合した新たな加算を創設する案が示されました。
新たな加算では、専門人材の活用や経験ある人材の評価という方向性を維持しつつ、専門職の配置や経験年数などの個別の要素だけを評価するのではなく、支援ニーズの高いこどもの受入れ状況やそれに応じた支援体制など、複数の評価項目で総合的に評価することが検討されています。
評価項目の具体的な内容や配点、単位数は、まだ示されていません。
【児発・放デイ】医療的ケア児・重症心身障害児の受入れを広げるための評価の案
地域で医療的ケア児や重症心身障害児の受入れを広げるため、論点2と論点3で評価の見直しが検討されています。
論点2では、次の案が示されました。
- 医療的ケア児への支援実績がある事業所が、新たに受け入れる事業所に必要な知識や支援ノウハウを共有し、助言などを行う取組を評価する案です。
- 新たに医療的ケア児や重症心身障害児を受け入れる事業所が、円滑な受入れに向けて連携や情報共有を行うことも、評価の対象として検討されています。
- 看護職員の確保が課題となるなか、外部の看護職員を活用した受入れを進めるため、医療連携体制加算(Ⅳ)と(Ⅴ)の評価をさらに充実させる方向です。
論点3では、医療的ケア児や重症心身障害児を安全に受け入れるための多職種連携、医療安全管理、緊急時の対応体制、関係機関との連携などについて、評価のあり方を検討する案が出ています。
その際は、主として重症心身障害児を受け入れる事業所とそれ以外の事業所で、求められる機能や役割が異なることをふまえ、それぞれに必要な体制や評価要件を整理することも検討されます。
【児発・放デイ】高次脳機能障害のあるこどもへの支援を評価する案
高次脳機能障害者支援法が令和7年に成立し、令和8年4月から施行されました。障害福祉サービスには、高次脳機能障害のある方への専門的な支援体制を評価する高次脳機能障害者支援体制加算がすでに設けられています。
一方、児童発達支援と放課後等デイサービスには、高次脳機能障害のあるこどもへの専門的な支援体制を評価する仕組みがありません。
論点4では、障害福祉サービスでの評価なども参考にしながら、高次脳機能障害のあるこどもへの支援を評価することが検討されています。
【放デイ】放課後児童クラブ等との連携・一体的な運用を検討する案
令和5年12月に閣議決定されたこども大綱では、障害の有無などにかかわらず、すべてのこどもが良好な成育環境のもとで成長できる社会の実現を目指すとされています。
未就学期については、保育所などと児童発達支援事業所などが併設され、双方の基準を満たす場合に、人員や設備の共用、職員の兼務ができるよう令和4年に省令が改正されました。
しかし学齢期には、放課後等デイサービスと放課後児童クラブなどの間で、同じような設備の共用や職員の兼務の仕組みは整っていません。
そこで論点7では、それぞれの事業の目的や人員・設備の基準にもとづく運営を基本としつつ、放課後等デイサービスと放課後児童クラブなどの連携・交流や、一体的な運用のあり方を検討する案が示されました。具体的な基準などは、今回の資料ではまだ示されていません。
【児発・放デイ】関係機関連携加算で地域の保育所・学校や居場所との連携を評価する案
論点8と論点9では、関係機関連携加算を見直し、地域とのつながりを評価する案が示されています。
論点8は、児童発達支援や放課後等デイサービスがもつ専門的な知識や支援ノウハウを、地域に還元する観点からの見直しです。
- 通所するこどもが併行して通う保育所や放課後児童クラブなどを訪問し、こども本人に関する支援方法の共有や受入れ環境の調整、専門的な助言を行う取組を評価する案です。
- 支援の質を確保するため、一定の実務経験がある職員が行うことを要件とする方向が示されました。
- 基準上の職員が訪問する場合には、訪問している時間帯に限り、必要な直接支援体制の確保を前提に人員基準上の取扱いを見直すことも検討されています。
こうした取組は、訪問先の職員への助言も含めてこども本人を支援する保育所等訪問支援とも関わります。資料では、保育所等訪問支援は給付決定にもとづいて実施されるものであり、保育所などの一般施策との連携や後方支援のあり方は、関係機関連携加算などによる取組も含めて考える必要があるとされました。
論点9では、保育所や学校などのフォーマルな機関に加え、地域の多様な活動や居場所などの地域資源との連携も、関係機関連携加算の評価対象に位置づける案が出ています。連携の実効性を確保するため、対象となる連携先の範囲や要件も整理される方向です。
【児発・放デイ】高校卒業後の進路への移行支援の評価を広げる案
高校卒業後の進路は、企業への就労に限らず、就労系の障害福祉サービスや生活介護の利用など多様です。論点11では、関係機関連携加算について次の見直しが検討されています。
- 評価の対象を一般就労への移行に限らず、障害福祉サービス等への移行まで広げ、支援の実態をふまえて評価回数も見直す案です。
- 進路先の調整は学校が主体的に担うことを基本としつつ、学校による進路指導だけでは円滑な進路決定が難しいこどもについて、学校や関係機関と連携して行う受入れ先の探索・選定の支援や、実習・体験の機会の調整を評価する方向が示されました。
- 進路先とのケース会議や情報共有、支援内容の引継ぎなど、関係機関が連携して行う移行支援を評価することも挙げられています。
【児発・放デイ】家族からの緊急・突発的な相談への対応を評価する案
令和7年度子ども・子育て支援等推進調査研究事業の「多様なニーズに応じた家族支援の実態把握に関する調査研究」では、家族からの緊急の相談に対応している事業所は64.2%でした。相談内容としては、急な預かりや一時保護などの依頼や、保育所・幼稚園・認定こども園・学校などでのトラブルが多く挙げられています。
論点10では、保護者などからの緊急的・突発的で対応が難しい相談への対応について、新たな評価のあり方を検討する案が示されました。
現行の家族支援加算との役割分担をふまえ、緊急時の関係機関との連絡調整や、必要な支援の調整・実施に向けた対応などを評価する方向です。
【児発・放デイ】職員が法定休暇を取る際の人員配置の取扱いの案
論点12は、職員が法定休暇を取得したことで、保育士または児童指導員の配置基準を満たさなくなる場合の取扱いです。法定休暇とは、労働関係法令で使用者が労働者に与えることを義務づけられた休暇を指します。
資料では、職員の休暇取得や人材の定着と、支援の質の確保との両立という観点が示されています。
そのうえで、管理者または児童発達支援管理責任者が直接支援に関わり、必要な直接支援体制が確保されていることを前提に、人員基準上の取扱いを見直す案が出ました。
児童発達支援センターの検討案
児童発達支援センターは、令和6年4月に施行された改正児童福祉法で、地域の障害児支援の中核的な役割を担う機関として位置づけられました。
【センター】中核機能強化加算を地域支援を軸に見直す案
児童発達支援センターには、幅広い高度な専門性にもとづく発達支援・家族支援、地域の事業所へのスーパーバイズ・コンサルテーション、地域のインクルージョン推進、発達支援の入口としての相談という4つの機能が求められています。
令和6年度の報酬改定では、これらの機能を発揮する児童発達支援センターの体制や取組を評価するため、中核機能強化加算が創設されました。
論点5では、中核機能強化加算について次の案が示されています。
- 地域支援や関係機関との連携を通じて中核機能を発揮することを、より明確に評価する仕組みへの見直しが検討されています。
- 地域支援や関係機関との継続的な関係づくりを担う中核機能強化職員について、専門職の人材確保が難しい状況もふまえ、配置のあり方を見直す方向が示されました。
- 中核機能強化職員の対象職種に、こども家庭ソーシャルワーカーを加えることも挙がっています。中核機能強化事業所加算も同様の扱いとする案です。
- 多様な専門職については一律の配置を求めず、地域のニーズに応じて必要な専門性を確保・活用しながら、地域支援や関係機関との連携を行える体制を評価することが検討されました。
【センター】外部搬入による食事提供を全国で可能にする案
児童発達支援センターでは、自園での調理による食事提供が原則とされ、調理室の設置や栄養士などの配置といった基準が設けられています。平成24年度からは、構造改革特別区域法にもとづく特例として、特区内で一定の要件のもと、外部搬入による食事提供が認められてきました。
構造改革特別区域基本方針では、この特例を令和9年4月1日から全国展開するとされています。その際には、こども一人ひとりの発達に応じた給食の提供や食物アレルギーへの対応、施設と事業者の間の給食にかかわる情報のやりとりなどに適切に対応できるよう、必要な措置を講じることが前提です。
論点6では、現行の特区の要件や基準を基本としつつ、特例の実施状況や現場の状況もふまえて、外部搬入による食事提供を行う際の留意点や基準の取扱いを示す案が出ました。
居宅訪問型児童発達支援・保育所等訪問支援の検討案
【居宅訪問型】通所施設移行支援加算の算定上限回数を見直す案
居宅訪問型児童発達支援の論点1は、医療的ケア児や重症心身障害児などへの切れ目ない支援を確保する観点からの見直しです。
居宅訪問型児童発達支援が担っている、児童発達支援などの通所支援への移行機能を一層進めるため、通所施設移行支援加算の算定上限回数を見直す案が示されました。
【保育所等訪問】訪問支援員に一定の実務経験を求める案
保育所等訪問支援では、こども本人への支援に加え、訪問先の施設の職員への助言や環境調整、関係機関との連携・調整が求められます。資料では、一定の経験をもつ訪問支援員による支援が相当程度行われている実態も示されています。
論点1では、訪問支援員の質を確保する観点から、現行の資格要件に加えて一定の実務経験を求める案が出ました。人材確保への影響にも留意し、経過措置を設けることもあわせて検討されています。
ただし、何年程度の実務経験を求めるかは、まだ示されていません。
【保育所等訪問】併設された保育所等への訪問の評価を整理する案
論点2は、保育所などと児童発達支援事業所が、同じ建物や同じ敷地内に併設されている場合の取扱いです。
人員や設備の共用、職員の兼務が認められている環境で、その保育所などと児童発達支援事業所の両方を利用しているこどもについては、すでに日常的な連携や一体的な支援ができると考えられます。
そのため、こうしたこどもへの保育所等訪問支援は算定対象外とするなど、保育所等訪問支援としての評価のあり方を整理する案が示されました。
障害児入所施設の検討案
障害児入所施設については、6つの論点が示されています。資料には、令和8年4月にとりまとめられた今後の障害児入所施設の在り方に関する検討会の報告書の概要もあわせて掲載されました。
| 論点 | テーマ | 検討案の要旨 | 資料p. |
|---|---|---|---|
| 論点1 | こどもの状態像に応じた支援体制 | 福祉型の施設類型である知的障害児、自閉症児、盲児、ろう児、肢体不自由児を一本化し、専門性のある職員の配置を新たに評価する | 143 |
| 論点2 | 重症心身障害児への発達支援 | 主として重症心身障害児を支援する施設で、保育士と児童指導員の人員基準を充実させる | 150 |
| 論点3 | 家庭的な養育環境 | 小規模グループケアと全室個室で手厚く配置している場合の評価や、敷地外でのサテライト型の体制の充実、医療型での敷地内のサテライト型を検討する | 156 |
| 論点4 | 支援ニーズの高いこどもへの支援 | 個別の対応が必要なこどもへの体制、医療的ケア児の受入れ、高次脳機能障害、人工内耳を装用しているこどもや視覚・聴覚障害のあるこどもへの支援を評価する | 168 |
| 論点5 | 家族支援 | こどもと家族の関係維持や家庭復帰などに向けて、家族支援を専門的に担う職員の配置を評価する | 177 |
| 論点6 | 関係機関との連携・地域支援 | ソーシャルワーカーの位置づけと移行支援関係機関連携加算を見直し、地域支援の機能を担う役割を検討する | 185 |
※第65回資料p.134〜をもとに、検討案の要旨を編集部でまとめています。
論点3では家庭的な養育環境の充実が、論点6では入所前から退所後までを見据えた一貫した支援体制づくりが検討されています。
令和9年度障害福祉報酬改定の今後のスケジュールと検討の流れ
今後のスケジュール(予定)
令和8年6月5日の社会保障審議会障害者部会で報告された資料では、次のような流れが示されています(令和9年度障害福祉サービス等報酬改定について(報告))。
| 時期 | 予定されている内容 |
|---|---|
| 令和8年9月~10月 | 各サービスの報酬等の在り方について検討 |
| 令和8年11月 | サービス横断的な報酬等の在り方について検討 |
| 令和8年12月 | 報酬・基準に関する基本的な考え方の整理・取りまとめ |
| 令和9年2月 | 障害福祉サービス等報酬改定案のとりまとめ |
改定後の報酬は令和9年度から適用される予定です。具体的な施行日は、今後示される告示などで確認する必要があります。
報酬改定検討チームでのこれまでの議論
| 開催 | 主な内容 |
|---|---|
| 第55回(令和8年4月28日) | 令和9年度報酬改定に向けた検討の進め方(資料) |
| 令和8年6月~8月 | 関係団体ヒアリング |
| 第62回(令和8年8月27日) | 令和9年度報酬改定に向けた主な論点(案)(資料) |
| 第63回(令和8年9月24日) | 訪問系サービス(資料) |
| 第64回(令和8年9月28日) | 就労系サービス(資料) |
| 第65回(令和8年10月5日) | 障害児支援(資料) |
令和8年度の臨時応急的な見直しとの関係
障害福祉サービス等の報酬改定は、原則として3年に1度行われます。前回の改定は令和6年度でした。
しかし、令和8年度には、処遇改善加算の拡充などを内容とする臨時応急的な見直しが行われています(令和8年度障害福祉サービス等報酬改定における改定事項について)。児童発達支援と放課後等デイサービスについては、就労継続支援B型、共同生活援助とあわせて、新規の事業所に限り応急的な報酬単価が適用されました。
この応急的な報酬単価は、令和9年度報酬改定までの間の措置とされています。令和9年度の改定は、こうした見直しをふまえて行われる3年に1度の改定であり、応急的な報酬単価の扱いも含めて、今後の議論の動向を確認しておくとよいでしょう。
見直し全体の内容は、「令和8年度障害福祉サービス等報酬改定(臨時応急的な見直し)の解説記事」でまとめています。
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まとめ
第65回障害福祉報酬改定検討チームで示された24の論点では、障害児支援の質の確保と、地域とのつながりの強化が多くの論点に共通するテーマとなっています。
児童発達支援・放課後等デイサービスに関わりが大きいのは、児童指導員等加配加算と専門的支援体制加算を統合する案や、関係機関連携加算の見直し案です。研修の運営基準への位置づけや、チームによる個別支援計画の作成といった障害児支援全般の論点も、日々の運営に関わる内容といえます。
一方で、新たな加算の評価項目や単位数、保育所等訪問支援で求める実務経験の年数などは、まだ示されていません。12月の基本的な考え方の整理、令和9年2月の改定案のとりまとめへと議論が進むなかで、具体的な内容が明らかになっていく見込みです。
いずれも検討段階の案であることをふまえ、今後公表される資料を引き続き確認していきましょう。
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事業者への記録・請求ソフト導入支援経験者や、障害福祉・介護業界に長く携わるメンバーが在籍。障害福祉サービス事業所の開業、経営、日々の運営業務に役立つ情報を発信しています。





