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グループホーム(共同生活援助)において、身体拘束は原則禁止されています。ただし、やむを得ない場合は必要な対応・手続きなどを経た上で認められる場合もあります。
令和6年の報酬改定では、身体拘束廃止に向けた取り組みが義務化され、事業所が必ず対応しなければならないことが定められています。制度に則り、適正な事業所運営を続けるために、身体拘束廃止に関するルールを正しく把握しておくことが大切です。
この記事では、グループホーム(共同生活援助)において身体拘束にあたる行為や例外的に認められる要件、身体拘束の廃止に関して事業所が取り組むべき義務などについて解説します。
ぜひ最後までお読みください。
障害者虐待と身体拘束
障害者虐待および身体拘束は、障害者虐待防止法において定義されています。
障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害者支援施設等の人員、設備及び運営に関する基準
引用元:厚生労働省「障害者福祉施設等における 障害者虐待の防止と対応の手引き」
(身体拘束等の禁止)
第48条 指定障害者支援施設等は、施設障害福祉サービスの提供に当たっては、利用者又は他の利用者の生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合を除き、身体的拘束その他利用者の行動を制限する行為(以下「身体拘束等」という。)を行ってはならない。
2 指定障害者支援施設等は、やむを得ず身体拘束等を行う場合には、その態様及び時間、その際の利用者の心身の状況並びに緊急やむを得ない理由その他必要な事項を記録しなければならない。
障害者虐待および身体拘束とは、障害福祉に携わる人が以下の行為をした場合「障害者福祉施設従事者等による障害者虐待」と定義されています。
①身体的虐待
暴行を加えること。正当な理由なく障害のある方の身体を拘束すること。
②性的虐待
障害のある方にわいせつな行為をすることまたはさせること。
③心理的虐待
障害のある方に対する暴言、拒絶的な対応、差別的な言動、その他心理的外傷を与える言動を行うこと。
④放棄・放置
障害のある方を衰弱させるような減食または長時間放置すること。他の利用者による上記①〜③と同様の行為を放置すること。
⑤経済的虐待
障害のある方の財産を不当に処分すること、障害のある方から不当に財産上の利益を得ること。
身体拘束にあたる具体的な行為
身体拘束とは「正当な理由なく障害のある方の身体を拘束すること」です。ここでは、身体拘束にあたる具体的な行為例を解説します。
- 車いすやベッドに身体を縛り付ける
- 部屋に閉じ込める
- 本人が自分で脱げない構造の服を着させる
- 指先で物を掴んだり引っ張ったりできないようにミトン型の手袋を付ける
- ベッドの四方を柵で囲み自力で降りられないようにする
- 利用者の行動を抑えるために、向精神薬や睡眠薬を過剰に服用させる
直接的に利用者の身体を縛るなど動けなくさせることや、直接身体に触れていなくても利用者本人の意思で動けないようにすることなどは身体拘束にあたります。
また、中には身体拘束を含む障害者虐待をしている認識がなく、指導やしつけなどと考えて身体拘束(虐待)が行われてしまっている場合もあります。そのため、どのような行為が身体拘束にあたるのかを正しく理解しておくことが大切です。
身体拘束が例外的に認められる要件
原則として身体拘束は禁止されていますが、①切迫性②非代替性③一時性 の3つの要件全てを満たす場合のみ例外的に認められます。
①切迫性
利用者本人または他の利用者の生命、身体、権利に危険が及ぶ可能性が極めて高いこと。
切迫性は身体拘束により利用者本人の日常生活に与える悪影響を勘案し、それでも身体拘束が必要な程、身体などへの危険が及ぶ可能性があることを確認して判断しなければなりません。
②非代替性
身体拘束やその他の行動制限を行う以外に代替する支援方法がないこと。
非代替性は身体拘束以外の方法の可能性を検討し、利用者本人の生命および身体を保護する観点で他の方法がないかを複数の職員で確認・検討する必要があります。また身体拘束を行う場合の方法も、最も制限が少ない方法を検討・選択することが求められます。
③一時性
身体拘束やその他の行動制限が一時的であること。
利用者本人の状態に応じて必要とされる最も短い拘束時間を常に検討し、見極める必要があります。
やむを得ない身体拘束を行う場合に必要な手続き
3つの要件を全て満たし、やむを得ない身体拘束を行う場合には以下の手続きが必要です。
施設全体での検討・決定と個別支援計画への記載
個別支援会議などにおいて、組織として身体拘束の実施可否を慎重に検討した上で決定しなければなりません。またその際には、管理者やサービス管理責任者など支援方針に関する権限を持っている職員が参加する必要があります。
個別支援計画には、身体拘束の態様と時間、やむを得ない理由、身体拘束の解消に向けた取り組み方針などの記載が必要です。
本人と家族への説明と同意
利用者本人と家族に対して身体拘束を行うことを十分に説明し、同意を得ることが必要です。
身体拘束の実施に関する記録
身体拘束の態様、時間、利用者本人の心身の状況、やむを得ない理由などの記録が必要です。必要な記録をしていない場合は身体拘束廃止未実施減算になります。
身体拘束廃止に向けて事業所が取り組むべき義務
令和6年の報酬改定によって、身体拘束廃止に向けた取り組みが義務化されました。事業所は身体拘束の有無にかかわらず、以下の取り組みを行う義務があります。
①身体拘束を実施する場合の記録の作成・保存
これは上述した内容となりますが、身体拘束を行う場合にはその態様や時間などを記録する必要があります。
②年に1回以上の身体拘束適正化委員会の開催と結果の周知徹底
身体拘束適正化委員会とは、身体拘束の廃止に向けた対策の検討を継続的に行う委員会のことです。事業所(法人)は委員会を設置し、年に1回以上開催しなければなりません。
委員会の構成員は管理者、サービス管理責任者、生活支援員、夜間支援従事者など複数の職員で構成し、それぞれの役割が明確になっているようにしましょう。なお、委員会は事業所単位ではなく法人単位での設置、開催も認められます。
委員会で話し合われた事項を職員に周知徹底することも必要ですので、委員会の開催から職員への周知まであわせて行いましょう。
③身体拘束の適正化に関するマニュアルの整備
事業所として身体拘束の廃止に向けてどのような方針・体制で取り組むのかということを明文化したマニュアル(指針)を整備する必要があります。
必須で盛り込むべき内容は以下の通りです。
- 事業所における身体拘束等の適正化に関する基本的な考え方
- 身体拘束適正化委員会その他事業所内の組織に関する事項
- 身体拘束等の適正化の研修に関する基本方針
- 事業所内で発生した身体拘束等の報告方法等の方策に関する基本方針
- 身体拘束等発生時の対応に関する基本方針
- 利用者等に対する当該指針の閲覧に関する基本方針
- その他身体拘束等の適正化の推進のために必要な基本方針
引用元:身体的拘束等の適正化の推進:令和3年度障害者総合推進事業「障害者虐待防止の効果的な体制整備及び精神科医療機関等における虐待防止のための啓発資料の作成と普及に関する研究」(PwC)
④職員への定期的な研修の実施
身体拘束の廃止・適正化に関する職員への研修を年に1回以上実施し、研修内容を記録で残す必要があります。また、職員を新規に採用した時も研修の実施が必須です。
身体拘束廃止にかかる適切な対応をしていないとどうなる?
ここまでお伝えしてきた身体拘束廃止に向けた取り組み・手続きなどを適切に行わなかった場合、身体拘束廃止未実施減算により減算となります。
身体拘束廃止未実施減算とは
身体拘束廃止未実施減算とは、身体拘束の廃止に向けて事業所が取り組むべき義務が適切に実施されていない場合に適用される減算です。
身体拘束廃止未実施減算は令和6年の報酬改定で厳格化され、減算率が引き上げられました。取り組みの実施有無に加え、事業所の対応次第では運営指導での指摘や行政処分となる可能性もあります。
身体拘束廃止未実施減算について詳しくはこちらの記事をご確認ください。
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まとめ
グループホーム(共同生活援助)をはじめ障害福祉事業において、身体拘束の廃止に向けた取り組みが義務化・厳格化されています。
身体拘束の有無にかかわらず、取り組みを実施しなかった場合は身体拘束廃止未実施減算により減算となるため、法人および事業所全体として正しく理解して対応しましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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