今こそ就労継続支援A型事業を通じて地域課題に貢献したい!DX人材を輩出し、障害福祉の可能性を広げるH3様の取り組み
- calendar_month 使用開始2023年
- person 使用人数13名(2025年4月時点)

課題
- 利用者の教育に充てる時間を増やすため、事務作業の時間を削減したい
- 紙での運用で利用者からのサインの取得漏れが発生
決め手
- ICTを導入することで業務効率化を実現できる
- 電子サイン機能でサインの取得漏れを防止できる
効果
- ペーパーレス化を実現でき、作業時間を削減できた
- サインの取得漏れを削減できた
- 利用者人数が増えても運営できる業務体制を構築できた
現在、法改正による基本報酬の減額や生産性の重視などにより、閉鎖や他事業への変更を行う就労継続支援A型事業所も出てきています。 福岡で就業継続支援A型事業所を運営する株式会社H3の早川様は、そうした流れに抗い「しっかりと収益を上げられるA型事業所を増やしていきたい!」と意気込みます。
この記事では、就労継続支援A型を開業し持続的に運用するための株式会社H3の事例を紹介します。
企業・利用者・事業所、「三方良し」のビジネスモデルを実現
まず、こちらの事業所の特徴を教えてください。
当事業所は、IT人材の育成に力を入れた就労継続支援A型事業所です。利用者は教育を通し、HTML・CSS・Javascriptなど、WEBサイト制作に必要な技術を習得できます。その技術をもとに企業から請け負ったWEB関連の制作を行い、収益を上げています。
おかげさまで福岡の著名な企業のホームページの制作を、当事業所の利用者が担当するといった実績もございます。またその技術を高く評価した企業様から、利用者を採用いただいた事例もあり、これまでに一般就労で8名のIT人材を輩出しています。
IT人材の育成から輩出まで、具体的にどのような流れで実現されているのでしょうか。
このモデルは、利用者・企業・事業所の3者がそれぞれにメリットのある構造になっています。
まず、社内のエンジニアが利用者にIT教育を行い、利用者は請け負った案件で習得した技術を実践していきます。その案件が依頼主の企業に納品できれば、それが利用者の実績となります。また、企業目線からみると、成果物に満足ができれば、そのまま利用者を一般就労等で雇い入れることもできる。企業は採用コストをかけず、技術のある人材を採用できるわけです。
さらに事業所目線では、就職者を送り出すことができれば次年度国から加算を受けることができます。こうして、WEB制作請け負いによる継続的な収益と、人材輩出による加算の取得を行うことで持続的な事業所運営を実現できるという、「三方良し」の体制ができあがっています。
実際の収益状況はいかがでしょうか。
例えばスコア130点の場合、前年に就職者を1人送り出すと、以下の計算式で収益が算出されます。
【計算式】
就労移行支援体制加算(就職後半年の定着)870円 ×
利用者人数30人 ×利用日数20日(平均)
=522,000円(就職者1人あたり)
昨年、当社では定着者を2名送り出しましたので、この金額は倍の1,044,000円となります。就職者を送り出す具体的な方法として、企業様へ次のようなご案内をしています。
「障がい者雇用を始めませんか?誰が来るか分からない状況で採用コストをかけるのではなく、まずは実際の仕事をH3に依頼してください。教育や実務経験はH3が担当し、仕事ができると判断したタイミングで直接採用いただけます。」
このような流れでご案内することで、安定した就職実績につなげています。就職者数を増やしたことによる加算と、案件の請け負いによる利益は、全て自社の利益になります。利用者賃金以上の売上を獲得することができれば、堅実に運営を行っていれば就労継続支援の仕組み上、経営にはあまり問題は起こりません。
また、案件を請け負うという面では、一般のIT企業よりも割安で受注を受けています。利用者賃金の倍以上に基本報酬が入金されるため、通常の価格より安価に提案でき、案件獲得もしやすくなります。
障害者の“限界を決めつけない”!その想いがH3立ち上げの原点
A型事業所を始められたきっかけを教えてください。
キャリアのスタートは障害福祉とは無縁の業界にいました。自分のライフステージが変化する中で「自分で事業を興したい」という想いを抱くようになり、様々な事業を検討していた折、就労継続支援A型の事業所で働きだしたことが障害福祉の道に進むきっかけです。
前職では主に、縫製の仕事を請け負っていました。高い集中力がいる業務ですが、利用者がそれぞれに誇りをもち、一生懸命に仕事に向き合う姿勢を毎日目にすることができました。
一方で同じ時期に、同業の様々な事業所を見る機会がありました。その中には、コスト面などの理由から利用者に対して教育を十分に行えなかったり、高度な作業は行えないと決めつけていたりして、単純作業しか任せていない事業所もありました。 日々利用者の真剣な姿勢を目の当たりにしていた私は、障害のある方々に対する「限界を決めてしまう」ような支援の在り方に疑問を抱くようになりました。
そこからなぜ、IT人材に特化した事業モデルを考えられたのでしょうか?
それは前職で働いていた際のエピソードに起因します。ある利用者が、「動画配信者になりたい!」と言い出したことがありました。そこで、元々知り合いだったWebに強い会社に連絡し、利用者に動画制作のノウハウを教育してくれないかと打診。快諾してくれ、実際にレクチャーがはじまりました。当初は「途中で挫折してしまうのではないか」と思っていたのですが、なんと一週間で動画編集の技術をマスターしてしまったんです。
この経験から、本人の意欲と教える側の力が伴えば、どんなことでも実現できるのではないかと考えるようになりました。こうした発想から、利用者に積極的にIT教育を施していくことを思いつき、今の事業をスタートしました。
就労継続支援A型事業所は書類等もかなり多いかと思います。事業所内のIT化はどのように進められていますか。
事業所ではペーパーレス化を推進しており、かべなしクラウドを活用しています。中でも電子サインはペーパーレスに欠かせない要素で、以前のアナログ運用では考えられないくらい時間を削減できていますね。
例えばサインの記入漏れがあった場合などは、アナログ運用では人数が増えれば増えるほど検出と対応が複雑になります。その点、電子サインであれば管理もわかりやすく、漏れがあった時の再取得も楽なので非常に便利ですね。
この事業モデルを広め、労働不足を障害者人材で補える社会へ
最後に、今後の展望をお聞かせください。
就労継続支援A型は現在苦境に立たされていて、なかなか黒字化できず閉鎖してしまう事業所や、A型からB型に変更する事業所も出ていると聞きます。
ですが、利用者の目線ではA型は得られる金額が大きく、自立への道も近い。障害福祉の将来を考えると、苦しい状況でもやはり私は就労継続支援A型事業所にこだわり、収益をあげることを諦めたくないと思っています。
そこで我々のビジネスのアイデアを広めることで、無理なく運営できるA型事業所が増え、最終的には日本の労働人口の不足を障害者の方で補っていくことができればと考えています。就労継続支援A型の立ち上げに興味のある方は、私たちと一緒にA型事業所を盛り上げていきましょう!
