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障害福祉サービスの業務の中でも、請求は特に注意して行っている、という方は多くいらっしゃるかと思います。ミスなく請求を行うために、請求ソフト・システムの導入を検討されている方や、現在使っている請求ソフト・システムから別のものへの乗り換えを検討されている方もいらっしゃることと思います。
この記事では、障害福祉の請求ソフト・システムの機能や導入のメリット、比較のポイントや請求ソフト・システムの紹介をしていきます。
ぜひご一読いただき、検討の参考にしてみてください。
障害福祉サービスの請求ソフト・システムとは
障害福祉の請求ソフト・システムとは、障害福祉サービスを提供する施設や事業所で、介護給付費・訓練等給付費などの報酬を、国民健康保険団体連合会(国保連)に対して請求する際に使用するソフト・システムのことです。
紙に手書きで記録を残す従来の業務運営では現場の負荷が高い上、過誤・返戻等のミスも多く発生していました。そこで現在では、請求業務をICT化して月々の請求業務の簡略化・効率化するため、請求ソフト・システムが活用されています。
障害福祉サービスの請求ソフト・システムの種類
障害福祉の請求ソフトには、国保中央会(国民健康保険中央会)が提供する国保連請求ソフト(介護伝送ソフト)と民間企業が提供する請求ソフト・システムがあります。
それぞれどのような違いがあるのでしょうか。
国保連請求ソフト(介護伝送ソフト)
国保連請求ソフト(介護伝送ソフト)は、利用者情報や事業所情報などのデータの入力・保存ができ、国保連(国民健康保険団体連合会)へ伝送が必要な介護給付費請求書や明細書等のデータを作成するための「簡易入力ソフト」と、簡易入力ソフトで作成したデータを国保連へ伝送するための「伝送通信ソフト」の2つのソフトの総称です。
国保連請求ソフト(介護伝送ソフト)の料金
項目 | 料金 |
---|---|
国保連伝送ソフト利用料 | 6万円 |
電子証明書発行料 | 1万3,200円 |
合計 | 7万3,200円 |
「簡易入力ソフト」は無料で利用が可能ですが、介護伝送ソフトは初期費用として「国保連伝送ソフト利用料」と「電子証明書発行料」がかかります。月額料金は発生しないものの、国保連伝送ソフトは3年に1度の法改正のタイミングでバージョンアップ版を購入する必要があり、電子証明書は3年間で有効期限が切れるため、更新の際に手数料が発生します。民間の請求ソフト・システムと比べて費用を安く抑えられる一方、機能が少なくインストールしたパソコンのみでしか利用できないという側面もあります。
国保連請求ソフトと民間の障害福祉請求ソフト・システムの違い
民間企業が提供する請求ソフト・システムは、請求業務に特化したものや、請求だけでなく日々の記録や利用者情報の管理など、障害福祉事業で発生する様々な業務を効率化できる機能が付随しているものが多くあります。
費用は国保連請求ソフト(介護伝送ソフト)と比べ高くなる傾向がある一方、より多くの業務課題にアプローチできるという違いがあります。
障害福祉サービスの請求ソフト・システムの主な機能
では、民間企業が提供している請求ソフト・システムは、国保連請求ソフト(介護伝送ソフト)と比べてどのような機能があるのでしょうか。
主な機能は下記の通りです。
請求ソフトの機能例
機能 | 概要 |
---|---|
障害福祉サービスの請求 | 毎月の国保連請求をより簡易的にミスなく実施できるようにする機能です。 |
利用者情報の管理 | 利用者の氏名や年齢、家族構成などのプロフィールのほか、口座情報や受給者証情報など、利用者に関する様々な情報を管理できる機能です。 |
計画書や帳票の作成・管理 | 個別支援計画などの計画書や、モニタリング表などのサービス提供に関わる書類を作成し、管理する機能です。 |
実績記録の作成・管理 | サービスを提供した記録を作成し、一元管理できる機能です。 |
スケジュール管理 | スタッフの勤務状況や、利用者の利用予定の管理、送迎などの予定を管理する機能です。 |
上限管理 | 自身の事業所が上限額管理担当となった場合に、利用者ごとの上限額の確認や管理、上限額管理結果表の作成などが可能な機能です。 |
障害福祉サービスの請求ソフト・システムを導入するメリット
様々な機能が搭載されている請求ソフト・システムは、導入すると多くのメリットがあります。主なメリットは以下の通りです。
請求業務の効率化
日々の実績記録から転記が可能なものなど、請求の際に一から入力してデータを作成する手間を削減できます。また、全てを手入力する必要がないので抜け漏れも防ぐことができ、請求業務を効率化することができます。
情報アクセスの簡略化
利用者の情報へのアクセスや抽出も、ソフト・システムがあればよりスムーズになります。
特にクラウド型のソフト・システムの場合、PCやタブレット等でどこでも情報を引き出すことができるため、紙やファイルを持ち出して確認するといった手間が省けます。
ペーパーレス化による経費・工数削減
これまで紙で管理していた情報は、請求ソフト・システムで管理することができます。そのため、書類を紙で印刷して管理していた場合に発生する、紙代や印刷代、管理のためのキャビネやスペースの確保といった経費を削減することができます。
日々の業務の効率化
記録業務のような、日々発生する業務の中でも重要かつ時間を要するものについても、ソフト・システムを使うことで工数を削減することができます。音声入力機能のあるものや入力を簡略化できるテンプレートのあるものなど、様々な機能で日々の業務をサポートしてくれます。
法改正への対応の効率化
障害福祉ソフト・システムの中には、報酬改定をはじめとした様々な法改正に無料で対応しているものもあります。改正があるたびに手動でソフトを更新するなどの手間がないため、フォーマットの変更等を都度行う必要がありません。
障害福祉サービスの請求ソフト・システムの選び方
ここでは、実際に請求ソフト・システムを導入する際の選び方について、手順ごとに解説します。
①必要な機能の洗い出し
まずはご自身の事業所に必要な機能を洗い出していきます。請求機能だけが必要な場合や、より工数を削減するために必要な機能がある場合など、自事業所が求める条件を確定させ、その条件をベースに提供企業から資料請求などして情報を収集します。
②各種ソフト・システムの比較検討
収集した情報をもとにそれぞれのソフトを比較し、候補を絞り込んでいきます。比較のポイントは後述しますが、費用や機能だけでなく様々な面から、どのソフト・システムが事業所に合いそうかを判断しましょう。
③候補となるソフト・システムを無料体験
候補を絞り込んだら、デモなどで使用感を確認しましょう。ソフト・システムによっては無料体験期間を設けているものもありますので、気になるものは無料体験に申し込み、実際の画面の見やすさや使いやすさを確認するようにしましょう。
④導入するソフト・システムを決定
無料体験等で実際に操作を体験し、最初に定めた条件も鑑みて問題がなければ導入するソフト・システムを決定しましょう。
障害福祉サービスの請求ソフト・システムの比較のポイント
ご自身の事業所に合った請求ソフトを選ぶため、下記のようなソフト・システムの比較ポイントを押さえ、それぞれの差異を把握しましょう。
ポイント1 費用
障害福祉の請求ソフト・システムの料金は、月額などの定額制と初期費用のみで使える買い取り型の2種類があります。
また、オプションの機能を追加した場合には追加で費用が発生することもあるため、基本の使用料+オプションの使用料を合算して比較するようにしましょう。
その他、請求ソフト・システムによっては契約期間の縛りがあることもあり、途中で解約する場合には違約金が発生することもあります。このような、規約についても事前に確認しておくとより比較しやすいでしょう。
ポイント2 自事業所の規模との合致
請求ソフト・システムは、大規模事業所向けのものや中・小規模事業所向けのものなど、事業所の規模でも比較が可能です。
豊富なサービス種別に対応したものや、種別は絞られるが特定のサービスに特化した機能をもっているものなど、自事業所と合致する性能のソフト・システムを選ぶようにしましょう。
ポイント3 導入方式
請求ソフト・システムには「クラウド型」と「パッケージ型」の2種類の方式があります。それぞれの違いは以下の通りです。
項目 | クラウド型 | パッケージ型 |
---|---|---|
費用 | 月額料金のみで、初期費用は不要。 | 年間契約や買い取り型が多く、初期費用が高いことが多い。 |
データ管理 | インターネット環境があれば、どのパソコンからでもアクセスが可能(パソコンが壊れたとしても、情報が消失することはない)。
パスワードの管理等のセキュリティ対策が必要。 |
事業所のパソコンにデータを保存するため、情報漏えいの可能性が低いが、パソコンの故障などによる情報消失等への対応(こまめにバックアップを取るなど)が必要。 |
ソフトのカスタマイズ | カスタマイズは難しいことが多い。 | カスタマイズが可能だが、
有料である場合が多い。 |
法改正への対応 | 自動更新のため、アップデート等の作業が必要ない。 | 自身でプログラムのアップデートが必要。 |
双方の特徴を把握し、自事業所の規模やニーズに合った方式を採用してください。
ポイント4 機能で比較
請求データ作成等の請求業務に特化したものや、計画書・記録・その他の機能が充実しているものなど、請求ソフトごとにそれぞれ特徴があります。
それぞれの機能を比較し、ご自身の事業所においてどのような課題を解決したいかによって必要な機能を見定め、導入するソフト・システムを決定しましょう。
ポイント5 サポート体制で比較
請求ソフト・システムの導入にあたり、導入初期の伴走や、乗り換え時の利用者データ移行のサポートがあるとよりスムーズにソフト・システムを導入できます。
ソフト・システムごとに対応可否は異なりますが、具体的なサポート内容としては以下のようなものがあります。
- 事業所の開業支援
- 導入時の訪問・電話サポート
- ソフト・システムを乗り換える場合のデータ移行支援
- 導入後の電話・メールでのサポート
不明点が発生した場合などでも、素早く対応してくれる請求ソフト・システムの方がより導入メリットを感じやすいと思いますので、比較の際にはサポート体制についても考慮することをおすすめします。
障害福祉サービスの請求ソフト・システム11選
障害福祉サービスで利用できるソフト・システムにはどのようなものがあるのでしょうか。主要なソフト・システムをご紹介します。(介舟ファミリー以下五十音順)
かべなしクラウド(株式会社エス・エム・エス)
かべなしクラウド(旧プロジェクトRIN)は、障害福祉に特化した記録・請求ソフトです。工賃計算・帳票作成機能で業務効率化を支援。電子サインで紙なし・ハンコなしのペーパーレス化を実現します。就労継続支援A型/B型、就労移行、定着支援、計画相談支援、グループホーム(共同生活援助)、生活介護に対応。
引用元(2025年6月4日):https://kabe-nashi.jp/
介舟ファミリー(株式会社日本コンピュータコンサルタント)
介護保険、障害福祉の両制度に対応。1つのソフトで請求、給与計算、入金管理ができます。初めての方でも安心してご利用できるシンプルな操作性。お客様の運用に合わせた操作説明、初めての請求立ち合い、サポートセンターにより、安心してご利用できます。
引用元(2025年5月12日):https://kaisyuf.jp/
カイポケ児発・放デイ(株式会社エス・エム・エス)※児発・放デイのみ
「カイポケ」は全国3,100以上の事業所が導入する放課後等デイサービス・児童発達支援の国保連請求ソフト・システムです。初めての請求でも安心のサポート体制で、事業所の立ち上げ・開業も支援。
引用元(2025年5月12日):https://ads.kaipoke.biz/after-school-day-service/
かんたん請求ソフト(株式会社LITALICO)
福祉サービス事業所向けに国保連請求ソフトを提供しております。使いやすさに優れた機能で業務を効率化。また各種運営にお役立ちする資料も掲載しています。
引用元(2025年3月28日):https://www.fukushisoft.co.jp/
ケア・オール(株式会社SANN)
障がい者向けグループホーム運営の皆様へ オールインワンの決定版アプリ 障がい者向けグループホームの運営管理はこれ1本で解決
引用元(2025年5月12日):https://care-all.jp/
Care-wing(株式会社ロジック)
日々の記録やモニタリング・アセスメント(LIFE対応)などを一元管理。介護保険以外のあらゆる記録に対応。80代のヘルパーさんも使っている、とにかく使いやすい操作性。特定事業所加算、リアルタイム情報共有、事務処理の削減への対応などIT化によって業務効率化に貢献します。
引用元(2025年5月12日):https://care-wing.jp/
ほのぼのmore(NDソフトウェア株式会社)
障害者総合支援法対応版「ほのぼのmore」をはじめ、障がい者福祉の様々な業務をトータルサポートするサービス・製品についてご紹介いたします。
引用元(2025年5月12日):https://www.ndsoft.jp/product/disability-welfare/
しょーあっぷ(株式会社福祉アセットマネジメント)
障害者向けグループホームのためのクラウド支援ツールで、国保連請求やシフト管理などを効率化しましょう。1か月無料でお試し可能!
引用元(2025年5月12日):https://fukushi-am.co.jp/
knowbe(株式会社リクルート)
『knowbe(ノウビー)』はリクルートが提供する障害福祉に特化した運営支援ソフトです。ご利用継続率99%で、多くの事業所様からご満足頂いています。「記録」「給付費請求」「工賃・給与計算」の業務効率化から就労支援まで、事業所様の運営・経営をサポートいたします。
引用元(2025年5月12日):https://knowbe.jp/
楽すけ(ニップクケアサービス株式会社)
障がい者総合支援版『楽すけ』でできること 障害者総合支援法に基づく介護報酬の国保連合会への請求・4つの訪問系サービス【居宅介護】【重度訪問】【行動援護】【同行援護】の請求に対応しています。・上限管理にも対応しています。
引用元(2025年5月12日):https://www.nippku.com/rakusuke/syougai
響シリーズ/シンフォニー(株式会社EMシステムズ)
各種介護・福祉サービスに対応した充実のラインアップ。事業所の皆様の運用に合わせ、各種サービスのプラン、実績、給与までをサポートするパッケージシリーズです。また、全国500以上の市区町村の移動支援サービスにも対応しおり、きめ細やかな機能でご好評をいただいています。
引用元(2025年5月12日):https://service.emsystems.co.jp/hibiki/
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「かべなしクラウド」を導入した方の声
ここでは、実際に「かべなしクラウド」の利用者の声をご紹介します。
事例①就労継続支援A型事業所を運営する株式会社Create様
株式会社Createの宮本氏は、「かべなしクラウド」の機能について下記のように述べています。
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引用元:かべなしクラウドでペーパーレス化を実現!IT人材の輩出で社会課題の解決を目指す女性社長の挑戦
事例②自立訓練(生活訓練)事業所を運営する一般社団法人 Atelier Michaux様
一般社団法人Atelier Michauxのこらだ環境研究所_鞍田代表は、「かべなしクラウド」の機能について下記のように述べています。
メール交付機能を活用しています。個人情報を隠した状態で、利用者へ代理受領書を、相 談支援事業所へ個別支援計画をソフト内からメール送付でき、交付実績も管理できます。
以前はメールで送付する際に個人情報保護のパスキーの設定をしたり、交付実績の管理も面倒だったのですが、ソフト内で完結できるので手間がかからなくなりました。
引用元:情報の一元管理で支援記録や状況把握がスムーズになりました!
さらに詳しく利用者の声を知りたい方は、こちらをご覧ください。
まとめ
ここまで、障害福祉向け請求ソフト・システムの機能や導入のメリット、選び方などについて説明しました。障害福祉向けの請求ソフト・システムは、給付費等の請求だけでなく日々の業務を効率化する機能が搭載されているものが多く、ご自身の事業所のニーズや状況に合わせ、適したものを選ぶ必要があります。
今回ご紹介した比較のポイントや選び方を参考に、ぜひ事業所に適した請求ソフト・システムをお選びください。
最後までお読みいただきありがとうございました。
事業者への記録・請求ソフト導入支援経験者や、障害福祉・介護業界に長く携わるメンバーが在籍。障害福祉サービス事業所の開業、経営、日々の運営業務に役立つ情報を発信しています。
かべなしクラウドは、障害福祉特化の業務支援ソフトです。個別支援計画、工賃計算、実績管理など、豊富な機能をオールインワンで備えています。
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