就労移行支援・就労継続支援A型・B型を運営するなかで、「施設外支援」という制度の活用を検討しているものの、具体的な要件や施設外就労との違いがわからないという方も多いのではないでしょうか。
施設外支援は、事業所外で支援を提供した日も基本報酬を算定できる制度です。利用者が職場実習や求職活動に取り組む日も報酬算定の対象となるため、一般就労への移行を積極的に支援したい事業所にとって活用メリットの大きい制度といえます。
一方で、算定には運営規程の整備や個別支援計画の月次更新など複数の要件を満たす必要があり、書類管理の体制を整えないまま運用すると返還リスクにつながることもあります。
この記事では、施設外支援の定義から算定要件、施設外就労との違い、実務上の注意点まで、詳しく解説します。
施設外支援とは?
まず、施設外支援の基本的な定義と対象となるサービス種別を確認しておきましょう。
施設外支援の定義
施設外支援とは、就労移行支援・就労継続支援A型(雇用契約無)・就労継続支援B型において、職場実習や求職活動など事業所以外の場所で行う活動をサービス提供として認める制度です。
通常、利用者が事業所に通所しない日は基本報酬の算定対象となりませんが、施設外支援は要件を満たすことで、利用者が施設外支援として職場実習や求職活動を行った日についても基本報酬の算定対象となります。
対象となるサービス種別
施設外支援の対象となるサービスは、就労移行支援・就労継続支援A型(雇用契約無)・就労継続支援B型です。
なお、就労継続支援A型は雇用契約のない利用者のみが対象です。ただし、現行のA型事業所は雇用契約ありの利用者が大半を占めるため、施設外支援は実質的に就労移行支援・就労継続支援B型で活用される制度といえます。
施設外支援と施設外就労の違い
施設外支援と混同されやすい支援形態として「施設外就労」があります。両者は実施場所がともに事業所外である点は共通していますが、目的や契約形態が異なります。
施設外就労とは
施設外就労とは、事業所の利用者と職員がユニットを組み、企業と締結した請負契約にもとづいて、その企業内で作業を行う支援形態です。事業所が企業から作業を受注し、利用者が企業の敷地内で生産活動に従事します。
施設外就労について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
施設外支援との比較
施設外就労と施設外支援は、目的・契約形態・職員の関与の仕方が異なります。
| 比較項目 | 施設外支援 | 施設外就労 |
|---|---|---|
| 主な目的 | 職場実習・求職活動等 | 生産活動による工賃向上・一般就労への移行 |
| 企業との契約 | なし | 請負契約あり |
| 職員の同行 | 必須ではない | 必須 |
| 利用者への金銭 | 実習先からの金銭受領は不可 | 事業所から賃金または工賃として支払い |
基本報酬を算定するための要件
施設外支援を適切に算定するには、複数の要件を満たす必要があります。
施設外支援実施日も基本報酬の算定対象(年間180日上限)
施設外支援は加算ではなく、実施日を基本報酬の算定対象日として認める制度です。利用者が事業所に通所していない日であっても、施設外支援の要件を満たすかぎり、事業所外での支援日についても通常の通所日と同様に基本報酬を請求できます。
算定できる日数は、1年間(毎年4月1日から翌年3月31日まで)に利用者が実際に利用した日数の合計で180日が上限です。
例外として、職場適応訓練を受講する場合や障害者短時間トライアルコースを利用していて個別支援計画の見直しにおいて延長の必要性が認められた場合は、180日を超えての算定が認められています。
運営規程への位置づけ
施設外支援を実施するには、その内容を事業所の運営規程に位置づけておく必要があります。運営規程への記載がない状態で施設外支援を実施しても、報酬算定の対象にならないため注意が必要です。
個別支援計画の作成・月次更新・交付
施設外支援の具体的な内容を個別支援計画に定め、その支援によって就労能力や工賃の向上・一般就労への移行が見込まれることを明記する必要があります。また、施設外支援を実施している期間中は、1か月ごとに個別支援計画の内容を見直し、利用者に交付することが求められます。
なお、令和6年度の報酬改定により、それ以前に求められていた1週間ごとの見直し要件は1か月ごとに緩和されています。
日報の作成
施設外支援の実施日ごとに、対象者や活動先の企業等から活動の状況を聴取したうえで日報を作成する必要があります。日報は個別支援計画の評価と連動させて記録することが重要で、翌月の個別支援計画の見直し内容の根拠となります。
緊急時対応体制の整備
施設外支援の実施中に緊急事態が生じた場合に備え、対応体制をあらかじめ整えておくことが求められます。利用者が事業所外にいる状況であっても、担当職員や事業所がすぐに対応できるよう、連絡体制や対応手順を事前に整備しておく必要があります。
施設外支援として認められる支援内容
施設外支援として認められる活動の範囲と算定できないケースをあらかじめ把握しておくことが重要です。
職場実習等
職場実習等として認められる活動には、企業・官公庁等における職場実習のほか、実習に係る事前面接や期間中の状況確認などが含まれます。
求職活動等
求職活動等としては、ハローワークへの求職登録や求人票の確認、採用面接への参加などが対象となります。
対象外となるケース
実習先から利用者または事業所に対して金銭が支払われる場合は、名目を問わず施設外支援として算定できません。
また、障害者トライアル雇用(通常の3か月間)については、所定の要件を満たす場合に施設外支援の対象となります。ただし、トライアル雇用を利用する場合は制度上、職業紹介時点で継続雇用中でない求職者が対象となっているため、就労継続支援A型(雇用契約有)の利用者はトライアル雇用を施設外支援として実施することはできません。
施設外支援における実務上の注意点
要件を満たして施設外支援を運用するうえで、事業者が押さえておくべき注意点を2点解説します。
書類業務の負担
施設外支援を実施する利用者が増えると、サービス管理責任者には個別支援計画の月次更新と交付が集中します。また、担当職員による日報作成も施設外支援の実施日ごとに発生するため、事業所全体としての書類業務の負担は相応に増加します。
施設外支援を開始する際は、対象者数を段階的に増やしながら運用体制を整えていくことが現実的です。
要件不備による算定不可リスク
施設外支援は自治体による定期的なチェックの機会が少ない一方で、実地指導では書類の不備が指摘されやすい項目の一つです。
運営規程への記載漏れや個別支援計画の更新遅延などがあると、算定分の返還を求められるリスクがあります。要件を正確に理解したうえで、書類管理のフローを事業所内で明確にしておくことが重要です。
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まとめ
施設外支援を活用するには、運営規程への位置づけ、個別支援計画の月次更新・交付、日報の作成、緊急時対応体制の整備という4つの要件をすべて満たす必要があります。要件に不備があると算定分の返還を求められるリスクがあるため、書類管理の体制を整えたうえで運用することが重要です。
まずは自事業所の運営規程と個別支援計画の整備状況を確認し、対象者数を段階的に増やしながら取り組みを進めていくことが確実な運用につながります。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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