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就労継続支援B型の研修とは?運営に必要な法定研修と実施のポイントを解説

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就労継続支援B型の研修とは?運営に必要な法定研修と実施のポイントを解説

就労継続支援B型では、管理者やサービス管理責任者(以下、サビ管)が研修の計画から実施・記録まで担うケースが多くあります。「どの研修が法律で定められているか」「いつまでに何回実施すればよいか」「記録はどこまで残せばよいか」といった疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。

研修はスタッフの支援スキルを底上げし、事業所全体のサービス品質を維持する手段です。一方で、義務づけられた研修を実施していない場合には報酬の減算や運営指導での指摘につながるリスクもあります。

この記事では、就労継続支援B型で必要な研修の種類と内容、実施・記録の流れ、研修未実施のリスクについて解説します。

就労継続支援B型における研修とは?

就労継続支援B型において事業所が実施する研修は、「法定研修」と「法定研修以外の研修」の2種類に分けられます。

法定研修

法定研修とは、運営基準によってすべての事業所に実施が義務づけられている研修です。根拠となるのは「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」であり、同法に基づく指定基準の中で、事業者が遵守すべき事項として定められています。

実施していない場合は報酬の減算対象となるものもあるため、年間の実施計画を立て、漏れなく対応することが求められます。

法定研修以外の研修

法定研修以外の研修は、法律上の義務はないものの、スタッフの支援力向上や事業所運営の改善を目的として各事業所が自主的に取り組むものです。

就労継続支援B型では、利用者支援の質を高めるための研修と、B型特有の事業運営に関する研修の2つの観点から整理することができます。

就労継続支援B型で実施義務のある法定研修

就労継続支援B型で実施すべき法定研修には、以下の5つがあります。

虐待防止研修・身体拘束適正化研修

障害者虐待防止法の趣旨に基づき、年1回以上の定期的な実施が義務づけられています。スタッフの新規採用時にも実施が必要です。研修では、虐待の種類・定義、早期発見のためのサインの見方、やむを得ず身体拘束を行う場合の3要件(切迫性・非代替性・一時性)の確認などを行います。

虐待防止と身体拘束適正化は相互に関連する内容のため、同一の研修内でまとめて実施することが一般的です。なお、研修の実施に加えて、虐待防止委員会・身体拘束適正化委員会の設置(年1回以上の開催)も義務づけられています。

これらの措置が未実施の場合、虐待防止措置未実施減算(基本報酬の1%減算)および身体拘束廃止未実施減算(通所系サービスは基本報酬の1%減算)の対象となります。

身体拘束未実施減算について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。

感染症・食中毒の予防及びまん延防止研修

新型コロナウイルスやノロウイルス、インフルエンザなどを念頭に置いた感染症対策の研修で、年2回以上の実施が必要です。感染経路や予防策の基本知識、発生時の対応フロー、消毒・清潔保持の方法などを学びます。

研修のほか、感染症対策委員会の設置(3か月に1回以上の開催)と感染症等の発生を想定した訓練の実施も合わせて義務づけられています。

業務継続計画(BCP)研修

感染症の流行や自然災害が発生した際に、サービスを継続または早期に再開するための計画(BCP)をスタッフ全体に周知・共有するための研修です。令和6年度から年1回以上の実施が義務化されています。自然災害版・感染症版それぞれのBCPの内容を共有し、実際の動き方をシミュレーションする訓練も合わせて実施することが求められます。

BCPが未策定の場合や策定した計画に沿った措置が講じられていない場合は、業務継続計画未策定減算(就労継続支援B型は基本報酬の1%減算)の対象となります。なお、減算は行政が指摘した時点ではなく「基準を満たさない事実が生じた時点」まで遡及して適用されるため注意が必要です。

非常災害対策研修(避難訓練等)

消防法および障害福祉の運営基準に基づき、年2回以上の実施が必要です。火災・地震などの非常災害を想定した避難経路の確認、ハザードマップを用いた地域リスクの把握、緊急連絡体制の周知などを行います。座学での知識共有だけでなく、実際に体を動かす訓練の実施が求められます。

ハラスメント研修

ハラスメント研修は、次の2つの法的根拠から義務づけられています。

労働法による義務(スタッフ間のハラスメント防止)

令和4年4月に中小企業でも義務化された改正労働施策総合推進法(パワハラ防止法)等を根拠とし、スタッフが安心して働ける職場環境の整備が求められます。

障害福祉の運営基準による義務(利用者・家族からのハラスメント対応)

令和3年4月の基準改定により、利用者やその家族からの不当な要求・暴力(カスタマーハラスメントを含む)への組織的な対応が義務づけられました。

研修では、スタッフ間のハラスメント防止と、利用者・家族からのハラスメントへの組織的対応という2つの軸で周知を行う必要があります。

就労継続支援B型で利用者支援の質を高めるための研修

以下の研修は法律上の義務はありませんが、利用者一人ひとりに適切な支援を届ける上で、実施しておきたい内容です。

個別支援計画作成研修

個別支援計画の作成はサビ管が主導しますが、計画の意図や目標を職業指導員・生活支援員も含めたスタッフ全体で共有するための研修です。一人ひとりが計画の目的を理解したうえで日々の記録を残すことで、支援の一貫性が保たれます。運営指導では個別支援計画と支援記録の整合性が確認されるため、全員での理解の徹底が欠かせません。

障害特性理解の研修

就労継続支援B型の利用者は、精神障害・知的障害・身体障害・発達障害・高次脳機能障害など多様な障害特性を持っています。各障がいの特性を正しく理解し、利用者それぞれに合った関わり方やコミュニケーション方法を学ぶ研修です。

事例検討を交えながら実施することで、知識を現場の支援に直結させやすくなります。また、障害特性への理解不足が原因で起こりうる不適切な支援の予防にもつながります。

緊急時対応研修

利用者の急変や事故など、突発的な事態にスタッフが適切に対処できるようにするための研修です。就労継続支援B型の現場では、以下のような場面を想定した対応を身につけておく必要があります。

  • てんかん発作・パニック時の対応
  • 利用者の体調急変時の連絡・救急対応フロー
  • 作業中の事故・ケガへの初期対応
  • 服薬状況の変化に気づいた場合の対応と連絡フロー

緊急時にとるべき行動がスタッフ間で共有されていれば、対応のばらつきを防ぎ、利用者の安全を守ることができます。現場で働く一人ひとりの精神的な負担の軽減にも寄与します。

関係機関との連携に関する研修

就労継続支援B型では、相談支援事業者やハローワーク、就業・生活支援センターなど、複数の関係機関と連携しながら利用者を支援することが求められます。研修では、各関係機関の役割と連絡調整の方法、情報共有の仕組みをスタッフ間で確認します。

また、利用者の状態が変化した場合のサービス変更(就労継続支援A型・就労移行支援事業所への移行、または生活介護等への移行)に向けた検討プロセスや、令和7年10月に施行された就労選択支援との役割分担についても、管理者・サビ管が理解しておくべき内容として取り上げることが有効です。

就労継続支援B型の事業運営に関する研修

以下は、就労継続支援B型特有の事業運営を適切に行うために、実施しておきたい研修です。

個人情報保護・情報セキュリティ研修

利用者の個人情報を適切に扱い、事業所への信頼を守るための研修です。日常の業務の中でも、スタッフ同士の会話や連絡ツールの使い方、SNSへの投稿などを通じて情報漏洩が起きるリスクがあります。

個人情報の取り扱いルール、情報漏洩が発覚した場合の対応手順、業務外でのSNS利用における注意点などを事業所全体で確認し、コンプライアンス意識を組織として高めることが目的です。

生産活動・工賃向上に関する研修

就労継続支援B型では、利用者に支払う平均工賃月額の水準が基本報酬の区分に直結します。また、工賃向上計画(3年ごとの策定が必要)の実行は事業所全体で取り組む課題です。

この研修では、工賃向上計画の内容や年度ごとの目標をスタッフ間で共有するとともに、作業工程の効率化・品質管理・高単価案件の受注拡大に向けた知識を深めます。管理者・サビ管が中心となって企画・実施することが多い研修です。

就労支援事業会計に関する研修

就労継続支援B型では、生産活動に係る会計と福祉事業活動に係る会計を明確に区分して管理することが義務づけられています。一般的な福祉サービスとは異なる会計ルールが適用されるため、経営者・管理者・事務担当者を対象に、制度の仕組みを理解するための研修として実施することが有効です。

職業指導員や生活支援員を対象とした研修ではなく、事業所の運営管理に携わるメンバーへの周知・共有が主な目的となります。

研修で扱う主な内容は以下のとおりです。

  • 生産活動会計と福祉事業活動会計の区分の考え方
  • 人件費・光熱費・車両費などの共通経費の按分基準の設定
  • 工賃の算出方法
  • 積立金(工賃変動積立金・設備等整備積立金)の仕組み
  • 運営指導で確認される会計書類の種類と整備

研修を実施する流れ

研修は年間計画の作成から始まり、実施・記録・書類保管まで一連の流れとして管理する必要があります。管理者やサビ管が中心となってこの流れを整備しておくことが、運営指導への対応においても重要です。

研修計画の作成

年度の始まりに年間研修計画を作成します。法定研修は実施期限が定められているものが多いため、優先的にスケジュールを確保しましょう。計画書には以下の項目を含めて作成します。

  • 実施時期(または具体的な実施日)
  • 研修テーマ・内容
  • 実施形式(集合研修・外部研修・eラーニングなど)
  • 受講対象者(全スタッフ対象か、役職・経験年数で絞るかなど)
  • 実施担当者(進行役・講師)

研修の実施と記録

研修を実施したら、速やかに記録を作成します。記録には以下の内容を記載します。

  • 開催日時・開催場所
  • 研修のテーマと目的
  • 担当講師・進行役
  • 参加者氏名
  • 研修の概要(扱った内容・議論になった点など)
  • 配布・使用した資料(印刷物や資料データを添付)

欠席者へのフォローアップ

法定研修はスタッフ全員への周知が前提です。シフトの都合などで当日参加できなかったスタッフには、資料の配布や研修録画の視聴といった方法で内容を共有し、確認した日付とサインを記録として残します。この対応の有無も運営指導の確認事項に含まれるため注意しましょう。

書類の保管と管理

研修資料と実施記録は5年間の保管が必要です。関連書類をまとめてファイリングし、運営指導の際にすぐ取り出せる状態にしておきましょう。電子データで保管する場合も、閲覧・印刷できる環境を整えておくことが求められます。

研修未実施の場合に懸念されるリスク

報酬の減算

法定研修が未実施の場合、基本報酬からの減算を受けます。就労継続支援B型に関わる主な減算は以下のとおりです。

  • 虐待防止措置未実施減算:基本報酬の1%減算
  • 身体拘束廃止未実施減算:基本報酬の1%減算(通所系サービス)
  • 業務継続計画未策定減算:基本報酬の1%減算

※身体拘束廃止未実施減算は、施設入所支援を行う「障害者支援施設」が就労継続支援B型等を一体的に運営している場合は10%となります。単独のB型事業所や多機能型事業所は通所系サービスに分類されるため、1%です。

これらの減算のうち、業務継続計画未策定減算については、運営指導で発覚した時点ではなく「基準を満たさない事実が生じた時点」まで遡及して適用されます。

指導・行政処分

運営指導で法定研修の未実施が確認された場合、改善指導の対象となります。その後も改善が認められなければ、新規利用者の受け入れ制限や最終的には事業所の指定取り消しという行政処分に発展する可能性があります。

スタッフの離職

研修が不十分な職場では、スタッフが困難な場面に直面したとき、適切な対応方法がわからないまま判断しなければならないことがあります。そうした状況はスタッフにとって大きな不安となり、離職につながるケースも少なくありません。

研修を通じて知識や対処法が共有されていれば、安心して支援にあたることができ、スタッフが長く働き続けられる環境づくりにもつながります。

研修の実施方法と負担軽減のコツ

事業所内研修

事業所内で行う研修は、現場の実情に即した内容を扱えるのが強みです。管理者やサビ管が講師役を担うことが多く、事例検討会の形式を取り入れることで、スタッフが翌日からの支援に活かしやすい研修になります。

全スタッフへの実施とフォローアップを一括して管理しやすい点もメリットです。特定分野に詳しいスタッフに担当してもらう方法は、担当者の自信と職場全体の学びを同時に高める効果もあります。

外部研修・オンライン研修の活用

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まとめ

就労継続支援B型で実施が義務づけられている法定研修と、支援の質向上・事業運営の改善に役立つ法定外研修についてご紹介してきました。

法定研修は全事業所で必須であり、年間計画の作成・実施・記録・保管まで一連の管理が求められます。実施漏れは報酬減算や行政処分のリスクに直結するため、年度初めの段階で優先的にスケジュールを確保することが重要です。

法定研修以外の研修は義務ではありませんが、利用者支援の質・工賃向上・スタッフ定着といったB型事業所の経営課題に深く関わる内容です。事業所内研修や外部研修・オンライン研修を組み合わせながら、スタッフが継続的に学べる環境を整えていきましょう。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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この記事の執筆者
かべなしメディア編集部 株式会社エス・エム・エス

事業者への記録・請求ソフト導入支援経験者や、障害福祉・介護業界に長く携わるメンバーが在籍。障害福祉サービス事業所の開業、経営、日々の運営業務に役立つ情報を発信しています。

※掲載内容はすべて記事公開時点のものです。

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